米沢のNPO・銅像建立、きょう除幕式・志士の生きざまを伝える

墓所に建てられた雲井龍雄の銅像=米沢市

米沢市のNPO法人雲井龍雄顕彰会が、幕末から明治にかけて活躍した米沢藩士・雲井龍雄(1844~71年)の銅像を、雲井の墓がある米沢市の常安寺(漆山知道住職・S47卒)に建立した。国の将来を思い、27年の生涯を駆け抜けた志士の生きざまを伝えたい考えで、20日に除幕式が行われる。

銅像は、同市の上杉神社内の「天地人像」を作った福島大の新井浩教授が手がけた。雲井の身長に近い高さ約160センチで、言論を大事にする雲井の姿勢を表現したという。左手に刀を握り、相手に訴えかけるような右手の動きが特徴だ。

同市出身の書家鈴木不倒さん(S47卒)が揮毫(きごう)し、周囲に年表や雲井作の詩を掲示している。QRコードを読み取ると、雲井に関する説明を動画で見ることができる。建立費約600万円は全国約160人の寄付を充てた。

下級武士の家に生まれた雲井は幼い頃から学問に優れ、江戸の学問所で全国に人脈を広げた。戊辰戦争では薩摩藩を批判する「討薩檄(とうさつげき)」を著し、奥羽越列藩同盟の士気を高めた。没落した士族の救済を図ったことが反政府の象徴と見なされ27歳で斬首されたが、国の将来を思い、自らを貫く生き方は、自由民権運動などに取り組んだ明治以降の若者にも影響を与えた。

顕彰会の屋代久理事長(69・S47卒)は「常に新しい国のあり方を考えて行動し、知行合一を体現した雲井を多くの人に知ってもらいたい」と話している。

2023年5月20日山形新聞より