県、県酒造組合、輸出拡大・観光誘客へ

県と県酒造組合は今月、県産日本酒の販路を拡大しようと、イタリアとフランスで現地の輸入業者やレストラン関係者に対し、プロモーション活動を繰り広げた。新型コロナウイルス禍が明け県産酒の輸出量は回復傾向に転じており、この機を逃さず輸出拡大と県産酒を足掛かりにした観光誘客につなげる狙い。商談の糸口をつかむなど手応えを得たという。

県産日本酒の輸出拡大と販路開拓を目的に、県と県酒造組合が欧州でプロモーション活動を繰り広げる=イタリア・ミラノ市

欧州は米国や中国に並ぶ消費地で、販路拡大の余地がある。プロモーションは9~14日に展開し、県産酒と現地料理のペアリング提案に軸足を置いた。吉村美栄子知事や小関敏彦同組合特別顧問(S49卒)らが参加した。

県によると、イタリアは2015年のミラノ国際博覧会への出展を機に、県産酒輸出量が増加し、既に一定の認知度を得ている。今回はさらなる販路拡大を目的に、ミラノ市で試飲会を開き、約50人に県内8酒蔵が2銘柄ずつ提供した。

小関特別顧問が本県の風土や酒造りの特徴をレクチャーし、出席者が生ハムやチーズなどと食べ合わせを確認した。良質な酒米や水を生み出す本県の風土、各酒蔵が切磋琢磨して酒を造るストーリーに興味を示す人が多かったという。

フランスは欧州で有数の日本酒輸出先だが、県産酒の輸出量は少ない。コロナ禍直前に売り込みを図ったが、感染症の世界的大流行に直面して輸出にはつながらなかった。今回が実質的に初めてのフランスでのプロモーションで、認知度向上と販路拡大を狙って6蔵が12銘柄を用意した。

パリのレストランでの試飲会では、一つの料理に対して複数の酒を提供。約20人に飲み比べてもらい、県産酒の奥深さを伝えた。出席者からは地理的表示「GI山形」の取り組みを評価する声が多かった。本格的な商談に向けたサンプルの提供希望も届き、県は新たな販路獲得に手応えを感じたという。

現地事業者から、酒蔵訪問を核にしたガストロノミー(美食学)体験のツアー商品開発に前向きな発言があった。小関特別顧問は「県産酒プロモーションはやればやるほど結果が出る。輸出の足がかりは築けた」と成果を振り返った。

2024年6月30日山形新聞より