山形いのちの電話は1994年10月に開局し、このほど30周年の節目を迎えました。これまでの歩みと今、そして「これから」について長谷川憲治理事長(S40卒)と井上弓子会長に語っていただき紙面対談を構成しました。(文中敬称略)
大切にし続けたい、携わる人の使命感
長谷川:前任の古澤茂堂さんから理事長を引き継いで6年になります。その前は評議員、理事、後援会長として携わり、かれこれ20年のお付き合いになります。
井上:評議員のとき、長谷川さんから後援会長を引き継ぎました。設立の頃は母が携わっていたので、親子2代、世代を超えてお付き合いさせていただいています。私自身は他の団体にも関わっているのですが、組織がきちんとしているのが山形いのちの電話の特徴だと思います。その背景には草創期の方々の「人のためになりたい」という思いがあるのでしょう。
長谷川:役員を務めたくださった歴代の方々、そして実際に電話を受けて下さる相談員の方々の努力があったからこそ、30年の歴史を刻むことができたのだと思います。こうした人たちの使命感を汚さないようにしなければなりませんね。
持続可能な組織であり続けるために
長谷川:今、運営面では三つの課題を抱えています。財務基盤がまだまだ脆弱だということが一つ。相談員の数ももっと必要です。活動拠点ももっとしっかりしたものにする必要があります。後援会の方々の頑張りで企業や個人からのご支援を頂いていますが、安定した運営のためには支援の輪をもっと広げなけらばならない。相談員は毎年養成講座を行い、登録人数が100人に達したこともありますが現在は100人を割っています。安定して電話を受け続けるためには100人は欲しい。相談員が快適な環境で電話を受けられるよう、活動拠点の課題も解決しなければなりません。
井上:運営費の大部分は寄付金によるもので、多くの善意が寄せられているのですが、年によって収入に凸凹があるのは致し方ありません。現状、ご支援を頂いているのは村山地方の方が多いのですが、県内全域の方々にご理解・ご協力をお願いしていきたいです。「三方良し」の考えが山形には根付いています。自分と取引先と社会のいずれもが良くなることが理想なので「社会をよくする」一環としてご支援いただければありがたいですね。
長谷川:相談件数は年々増加している一方、自殺者は減少傾向にあります。私たちが社会に貢献できていることは確かだと思います。県民の認知度は高まっていますが、さらに存在感を高めていきたいです。
悩みを抱える人の「最後のとりで」
井上:最近は孤独な高齢者の方の相談が多いそうですし、若い人も先行きに希望が持てなかったりして苦しい気持ちを吐露できる場所が必要です。電話を受けて下さる相談員の方々には頭が下がる思いです。相談員の中には「自分のためにもなる」とおっしゃる方もおりますので、志のある方はぜひとも相談員になっていただきたいですね。また、日々携わってくださる相談員の方々に感謝の気持ちを何らかの形で伝えたいと感じています。
長谷川:本間利雄さんが後援会長の頃には日帰りバスツアーを行ったりしましたね。相談員の方々は匿名性が絶対条件の下、相手の話をとにかく「聴く」わけですから、何らかの形で報いることは必要でしょう。そのためにも財務基盤の強化や、活動拠点の課題の解決が急がれます。
井上:役に立ち続けるためにも、持続可能な団体でなければならない。後援会は法人と表裏一体の立場で支援の充実を図っていきます。
長谷川:自殺を考えなければならないほど切羽詰まった人が望みを託す「最後のとりで」は社会の中にどうしても必要です。現状さまざまな課題があるのですが、それらを一つ一つ解決し、県や市町村などとも連携を取りながら、人々の役に立つ存在として一人一人の悩みに寄り添っていきます。
ご寄付のお願い
いのちの電話は相談員の無償の奉仕で支えられていますが、相談員養成費、研修費、借室料、広報・事務費などの運営費が必要です。いのちの電話の活動は皆さまのご寄付で支えられています。
- 維持会員
- 個人会員 <1口> 1,000円~
- 団体会員 <1口> 10,000円~
- 賛助会員 金額は定めず、随時ご寄付いただける方です。
※【寄付金控除】個人の場合は「寄付金控除」、法人の場合は「損金算入」として税法上優遇されます。詳しくはいのちの電話事務局023-645-4377まで、お気軽にお問合せ下さい。
社会福祉法人山形いのちの電話
〒990-8691 山形市中央郵便局私書箱99号
事務用電話 TEL.023-645-4377 FAX.023-645-7765
https://www.yamagata-ind.jp/2024年10月26日山形新聞より