オンラインセミナーで医業継承のメリットなどを紹介する岡本雄三代表と中山裕一常任理事(左・S51卒)=山形市・県医師会館

医師会の高齢化により県内でも診療所の休廃業が相次ぐ中、県医師会(間中英夫会長)は今年、後継者がいない診療所がいないと開業する医師をつなぐ医業承継支援に本格的に着手する。今月下旬にマッチングサイトを開設するほか、税理士などと連携してサポート体制を構築し、医業承継を促進することで、地域のかかりつけ医など「身近な医療」の確保・充実を目指す。

マッチングサイト開設 ■税理士など連携も

県医師会が昨年度実施したアンケートでは、回答した開業医の5割超が「10年以内に引退を考えている」「後継者が決まっていない」とした。急激な高齢化でかかりつけ医機能の充実などが求められる中、医師会は在宅医療や学校医、休日当番医を担う開業医を確保するため、県と連携して医療承継支援に乗り出す。

マッチングサイトは後継者を探す医師と、承継を希望する医師の双方から登録を募る。県医師会は登録者から希望条件を聞き取り、両者を結び付けて面談日などを調整する。日本医業経営コンサルタント協会に加盟する税理士が、会計書類などの説明で協力する。

県医師会は先月18日、医業承継の周知を図るオンラインセミナーを初開催し、医師や行政関係者ら約100人が参加した。診療所の経営支援などを手がけるMARKコンサルタンツグループ(名古屋市)の岡本雄三代表が講師を務めた。

岡本代表は医業支援のメリットについて、廃業・開業に必要な費用の抑制、スタッフの雇用維持、現在の患者を引き継げる点などを挙げた。「かつてのような親子での承継は難しくなっている。クリニックを『公器』と捉え、地域全体で守っていく姿勢が重要だ」と呼びかけた。

県医師会は、来月もセミナー開催を予定し、地区医師会やインターネット広告を通じた支援事業の周知に努める。中山裕一常任理事(S51卒)は「県や市町村に対し、譲渡・承継希望者に関する情報収集や、支援制度創設などの協力が得られるよう働きかけたい」としている。

2025年1月8日山形新聞より