年度内1回開催 郷土への関心深める機会
米沢市六郷地区では、六郷小(佐藤珠水校長)の児童や保護者を含む住民らが教育や地域の在り方について意見を交わす「教育懇談会」が毎年開かれている。1962(昭和37)年1月から年度内に1回開催され、新型コロナウイルス禍で中止した2020、21年度などを除いて続く。時代ごとに変化する課題を地域全体で議論し、住民が世代を超えて教育や郷土への関心を深める機会になっている。
子どもと地域の大人が参加し意見を交わした教育懇談会=2024年12月14日、米沢市六郷小 六郷コミュニティセンターや同校関係者、住民でつくる実行委員会(会長・佐藤耕一センター館長・S46卒)が主催。懇談会は、当時の保護者と校長らが、子どもの長所を伸ばして育てていくために意見交換を始めたことがきっかけだった。
年度ごとに学校や地域、家庭それぞれの役割分担、しつけの在り方といったテーマを設けて議論してきた。またコミセンの活用方法、地域特性を生かしたまちづくり、防災対策といった地域課題も考えている。
子どもと大人の話し合いで生まれたアイデアは具現化してきた。地区散策マップ設置、地域マスコットとして考案された「ろっくん」も懇談会での発案だった。同センターの元館長で、長く懇談会に携わってきた古山好樹さん(75)=同市六郷町桐原=は「人口が減り続け、懇談会を取りやめようとの声も上がったが、厳しい状況に直面しているからこそ、古里や教育を考える機会を維持してきた」と振り返る。
本年度は昨年12月14日に同校で開催し、ゲームやインターネットとの向き合い方などを話し合った。児童は「ネットを使えば新しい友達が増える」「ゲームの使用時間が長くなると成績が下がってしまう」とそれぞれの意見を披露。保護者と話し合い、「一日のゲームの時間を決め、勉強もきちんとする」と家庭ごとのルールを決めるなどした。
佐藤校長は「児童にとっては自身の意見を考え、発表する良い機会。地域全体で子どもを育てていく取り組みは大変ありがたい」と話す。同校は27年度に広幡、塩井の両小と統合する。佐藤館長(72・S46卒)=同市六郷町轟=は「子どもは地域の宝。懇談会は閉校後も継続する予定で、将来も地域全体で見守っていきたい」と語った。
2025年2月1日山形新聞より