雲井龍雄の生涯を学べる冊子やファイルを佐藤哲教育長に手渡す屋代久理事長(右・S47卒)=米沢市 米沢市のNPO法人雲井龍雄顕彰会(屋代久理事長・S47卒)は6日、幕末から明治にかけて活躍した米沢藩士・雲井龍雄の生涯をまとめた冊子とクリアファイルを市内の児童生徒に贈った。国の将来を思い、自らを貫いた雲井の生きざまについて、若い世代に知ってもらおうとの狙いだ。
雲井は学問に優れ、江戸の学問所で全国に人脈を広げた。戊辰戦争で薩摩藩を批判する「討薩檄(とうさつげき)」を著し、奥羽越列藩同盟の士気を高めた。没落した士族の救済を図ったことが反政府の象徴と見なされ27歳で斬首されたが、国の将来を思い、自らを貫く生き方は、明治以降の若者にも影響を与えた。
冊子では雲井の生涯について、年表なども添えて詳細に解説している。同市や東京都内にある雲井の史跡、討薩檄の草稿も掲載した。クリアファイルには同市出身の漫画家沖田有さんが雲井を模したイラストを描いた。QRコードを読み取ると、雲井に関する7分の動画も見られる。
冊子は500部、ファイルは5千部を作成した。冊子は市内の小中学校に3冊づつ、ファイルは市内の小学4~6年生全員に配布する。ファイルは今後10年間、小学4年生への寄贈を続ける。今回は小学4~6年生を対象に、雲井の動画に関する感想文コンテストも実施する。市の協働提案制度の助成を受け、事業の一部に活用した。
市置賜総合文化センターで行われた贈呈式で、屋代理事長が佐藤哲教育長に冊子とファイルを手渡し、「若い人は雲井の存在をほとんど知らない。小学校の段階で知ってもらいたい」と述べた。
2025年3月13日山形新聞より