深刻な人手不足、課題解決へ

クラウド型在庫管理システム開発販売のZAICO(米沢市、田村寿英社長・H14卒)は物品の入出庫の管理や発注を自動で行う装置とシステムの開発を進めている。同市花沢の本社に今月、自動化装置・システムを体感できる展示場を開設した。人手不足が深刻化する中、人の手を極力介さずに在庫管理ができる環境の構築を目指す。

在庫管理の自動化に関する展示場で説明する田村寿英社長(H14卒)=米沢市

同社は物品の入出庫をスマートフォンで簡単に入力し、クラウド上で管理できるシステムなどを展開する。在庫管理を自動化する商品では、物品の重量の増減を計測することで在庫の数を自動記録するなどをすでに販売している。

現在、開発を進めるのが、センサーを活用し、入出庫と同時に自動で個数を管理するシステム。棚に設置したセンサーで物品との距離を測ったり、使い終えた物品のICタグを箱に入れると箱の中のセンサーが作動したりして、在庫数を把握する仕組みだ。3月上旬に開設した展示場で、これらの自動化装置・システムを試すことができる。

同社によると、機能を限定した無料サービスの利用者数は17万人。発注のタイミングを知らせたり、スマートフォンで画像認識して入出庫を管理する機能が付いた月額4378円からの有料サービスは、約3200社が登録する。製造業や小売・卸売業の利用が多く、近年の売り上げは前期比2倍のペースで増えているという。卸売事業者など向けに取引先の在庫データも把握できるサービスの開発に向け、昨年11月、ベンチャーキャピタルのアーキタイプベンチャーズ(東京)から3億円の出資を受けた。

田村社長の実家は同市で倉庫業を営む。倉庫内の物品管理を誰でも簡単にできるようシステム化したのが、ZAICO設立のきっかけだった。田村社長は「在庫管理は商売の基本。人が職人技のように行ってきたことをシステム化し、人手不足による課題を解決したい」と話す。展示場のオープン時間は平日午前9時~午後5時。予約は必要で、同社ホームページカスタマーサポート(https://www.zaico.co.jp/inquiry/customer_new)から申し込む。

2025年3月20日山形新聞より