自社アプリ、若手活躍 ◆現場の生産性向上
中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)先進事例を選定する経済産業省の「DXセレクション」で、建設業の後藤組(米沢市、後藤茂之社長・S62卒)が最高賞のグランプリに輝いた。社員全員がアプリを作成するなど社を挙げてDX推進に取り組み、生産性向上や若手社員が活躍しやすい環境づくりに効果を挙げている点などが評価された。
自社アプリを使い、設計基準をクリアしているか確認する社員。DX推進は若手が活躍できる環境構築にもつながっている=昨年6月、米沢市 同社は、全社員84人が業務アプリ構築クラウドサービスや生成AI(人工知能)を活用し、主体的にDX推進に取り組む。工事現場の各所にQRコードを設置し、情報入力・管理を進める。現場入りする協力業者が紙に記入した個人情報を後藤組の社員がパソコンに再入力していた手法を、協力業者の従業員が各自のスマートフォンで入力する内容に変更した。一度登録すれば、同社の他の現場に顔認証で入ることができる。蓄積データを業務に生かし、経験の浅い若手社員が1人で完結できる領域を増やしている。
昨年の社員1人当たりの残業時間はDX導入直後の2021年と比べて1割程度減り、総労働時間に対する粗利益は4割近く増加するなど生産性が向上した。
「どうすれば手間を省き、同じ成果を挙げられるか」との観点で、全社員が毎月一つのアプリを作成することを目標に掲げてきた。入社3年目の社員は、現場で生コンクリートの運搬車を待つ時間を減らすため、生コンのプラント出発と同時に到着時刻が通知されるアプリを考案した。社員全員が効率化を実感し、現場の課題をDXで解決しようとする姿勢が染みついているという。
後藤社長は「DXはあくまで手段。生産性や品質の向上に向け、生成AIとの組み合わせなどでさらに進化させたい」としている。(後略)
2025年4月3日山形新聞より