置賜総合支庁長・佐藤佳子さん(S59卒)

―災害の頻発・激甚化で防災力向上は不可欠だ。

「2022年8月豪雨で被災した農業施設や道路、河川の復旧はほぼ完了した。被害の大きかった国道121号や萩生川、大巻橋、鏡沼は本年度内に工事が終わる。異常気象に対応するため、決壊すると広範囲に被害が及ぶため池を中心に、施設強靭化や監視カメラの設置を進める。具体的には、農地と農業施設の再点検、流域治水対策としての田んぼダム普及に取り組む。河川は屈曲部を緩やかにして流下能力を向上させる。置賜地域は自主防災組織率が県内4地区で最も低い。組織率アップに向け、未組織地区役員向けの研修会や交流会を開き、働きかける」

―人手不足対策と産業振興策は。

「若者の件内定着を促すためには、地元で働く意義と利点、地元企業の魅力を伝える必要がある。小中高生に職業体験や職場見学の機会を提供し、地元への愛着を醸成する。働きやすい職場づくりに積極的な『やまがたスマイル企業』の認知度向上と認定数増に挑み、定着の促進と離職防止につなげる。産業振興面では企業による新技術移転、企業間連携を支援する」

―観光客は増えたが、伸ばす余地はあるか。

「やまがたフルーツと米沢牛の150周年に絡めた誘客企画を実施し、域内滞在と消費の拡大を目指す。置賜地域は、白川湖の水没林や三淵渓谷などアドベンチャートラベルの素材にあふれる。誘客の目玉にしようとコンテンツの造成や周遊コースの検討、商談会開催、広域連携によるプロモーションに取り組む。外国人の受け入れ環境整備も一層進め、宿泊施設や飲食店対象のSNS(交流サイト)活用学習会、パンフレットとウェブサイトの多言語化も計画している」

2025年5月8日山形新聞より