老朽化、入寮生減り存続検討

置賜地域出身学生の支援事業を手がける米沢有為会(平山英三会長・S40卒)が、男子学生寮の東京興譲館(東京都調布市)の土地と建物を近くの企業に売却し、来年3月末で寮をいったん閉鎖することが19日、同会への取材で分かった。集団生活を敬遠する若者が増え、老朽化や大学の都心回帰も進み、近年は入寮生が減っていた。同会は存続検討委員会を設け、利便性の良い場所への移転を検討する。

民間企業に売却される米沢有為会の東京興譲館寮=東京都調布市

東京興譲館寮は置賜地域の在住者や出身者の子弟で、首都圏の大学や専門学校に通う学生を受け入れている。1966(昭和41)年築で、完全個室の鉄筋コンクリート4階建て。寮生(定員24人)は24年度が10人、25年度が11人。入寮は24年度が1人で、25年度は在寮が1年限りと了承してもらい5人を受け入れた。

大学キャンバスが都心に移転し、最寄り駅から徒歩10分余りかかる上、新宿駅まで電車で20分以上を要するアクセス面も、居住先の選択肢に入らなくなった要因とみられる。食費や水道光熱費込みの寮費は昨年度に1万5千円値上げし6万5千円としたが、運営費全額は賄えず、同会の支出金や寄付金を充当していた。

敷地面積は約1400平方メートル。売却先は鉄道の軌道工事や保線を担う会社で、本社や資材置き場、社員寮を集約するという。2月末に6億2千万円で売買契約を結んだ。入居している同会事務局は移転する。

仙台市にある仙台興譲館寮は引き続き運営し、奨学金制度も続ける。

存続検討委員会は1~2年にわたり、首都圏での学生寮ニーズと在り方、運営が成り立つ規模、立地、設備を検討し、実現可能と判断すれば具体的な計画策定に着手する。不可能な場合は代替案を考える。また、売却益を運用し寮再建の費用に充てるほか、奨学金の貸与型から給付型への転換も検討する。平山会長は「会員の間でもさまざまな意見はあるが、寮再建の可能性は残せた。希望を持ち、検討したい」と話した。

2025年6月20日山形新聞より