山形新聞社など東北の5新聞社が主催する第69回東北六県囲碁大会は最終日の29日、福島市の民報ビルで3~5回戦が行われ、団体戦は本県代表チームが全勝し、4年ぶり2度目の頂点に輝いた。個人戦は先鋒の山崎恵大六段(21)=山形市=が初優勝。副将の山崎光基六段(18)=同=が2位に入り、大賞の太田尚吾六段(37・H18卒)=山形市=は5位だった。
団体戦で4年ぶり2度目の頂点に輝いた本県代表チームの(左から)山崎恵大、山崎光基、太田尚吾(H18卒)の各六段と、佐藤博史監督=福島市・民報ビル 初日に2連勝した本県は3回戦、同じく連勝発信の岩手を2-1で退けた。太田六段は難解な局面から一歩抜け出し、山崎恵六段は手厚い打ち筋から得た優位を守り抜いた。山崎光六段は勝負どころを見誤り、黒星を喫した。
宮城との4回戦は2-1で勝利した。山崎光六段は得意の展開に持ち込み、山崎恵六段は終盤に大石を得るなどしてそれぞれ白星を挙げた。太田六段は中盤以降の混とんに乗じて主導権を握られた。
秋田との5回戦は2-1でものにした。山崎光六段は最終盤に相手のミスを見逃さず、山崎恵六段は中盤の競り合いで優位に立った。太田六段は秒読みからのミスが痛かった。
全勝での団体優勝は初めて。3選手は「チームとして、互いに支え合いながら戦えた」などと振り返り、監督の佐藤博史四段(76)=山形市=は「山形の時代を予感させる優勝だ」と奮闘をたたえた。閉会式では、審判長を務めた日本棋院の宮崎龍太郎七段が「安定感とチームワークの強さが光っていた」と、本県代表の戦いを講評した。(後略)
「師匠」と兄弟、連携強く・全勝V、同じ研究会の3人
本県チームは初の全勝で団体優勝を決めた。出場通算19回、大将戦優勝3度を誇るエース太田尚吾六段が苦戦する中、山中恵大、山崎光基両六段の兄弟が「師匠」の分も白星を積み重ね、連帯感の強さをにじませた。
全員が太田六段が代表を務める「那智囲碁研究会」のメンバー。月1回のペースで集まり、対局や着手を見直す「検討」を重ねて腕を磨く。大会の直前にはプロ棋士を招いた対局会で感覚を研ぎ澄ませたほか、大会初日の夜も他県の代表を交えて検討を重ねるなど、棋力向上への情熱は目を見張るものがある。
団体戦の通算優勝数は青森県の19を筆頭に、宮城17、岩手13、秋田12、福島6と続き、本県は2021年以来の2度目。他県と比べれば見劣りするが、初優勝以降は22年3位、24年2位と優勝争いの常連になりつつある。佐藤博史監督は「先の県大会も接戦が多かった。ここ数年でめきめきと底上げが進んだ」と目を細め、若武者3人を筆頭とした本県囲碁界の隆盛を期待した。
2025年6月30日山形新聞より