オートクチュール(一点物)のバッグを手がける米沢中央高の英語教諭、紺野ゆかりさん(58)=川西町上小松=が7月、イギリスの展覧会に自作を出展する。49歳でバッグ制作を始め、これまでに国内外の展覧会向けに出品。今回は英王室をイメージした作品を出す予定で、紺野さんは「自分の人生を投影した作品を見てもらえたら、うれしい」と話す。

オートクチュールバッグを制作し、海外にも出展している紺野ゆかりさん(S60卒)=川西町上小松

紺野さんは南陽市出身。バッグ作りは趣味で始めた。2023年2月はインスタグラムで発信を始め転機となった。全国の美術関係者からオファーが寄せられ、英国王立美術家協会名誉会員に選ばれるなど「めまぐるしく状況が変化した」と振り返る。

静岡大時代に英米に留学したほか、バックパッカーとして15カ国を旅した。豊富な渡航歴は作風に反映され、西陣織など日本の着物の生地や帯と、貝殻や天然石、ビーズといった素材を組み合わせる。和と自然素材が溶け合う作風が支持されているという。

今回の出品作は「Queen Elizabeth in SHIROMUKU」。亡くなったエリザベス女王を想像しながら白無垢の生地に透明なビーズなどをあしらって仕上げた。現地で7月に開催される英国王立美術家協会名誉会員による展覧会で紹介される。

2月の「第30回日本の美術全国選抜作家展」(東京)で準大賞に選ばれ、フランスの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で4月に開かれた「WORLD PEACE ART EXHIBITION」に出展するなど活動の場を広げる紺野さん。「のどかな田園に囲まれた山形で、これからも制作に打ち込む。ものづくりを通した自己表現の面白さを多くの人に伝えたい」と語る。

2025年7月1日山形新聞より