県内では最高気温が連日、30度を超え、熱中症による救急搬送者が相次いでいる中、新型コロナウイルス感染症の患者数は増加傾向にある。感染予防対策と熱中症予防対策を両立するのは難しいが、専門家の考えは―。山形大医学部の今田恒夫教授(公衆衛生学・S58卒)は「夏」を踏まえたポイントとして「換気」を挙げ、サーキュレーターなどを活用し、「空気の流れがよどまないように工夫すること」とアドバイスした。
今田恒夫・山形大医学部教授(S58卒)=230331山形新聞より 空気流れるよう換気を・サーキュレーターなど活用・密閉空間はマスク着用
今田教授は新型コロナが夏場に流行する要因として冷房のため換気が十分でないケースを挙げる。エアコンで室温を下げるため、窓を閉め切り空気の流れが悪い状況が長く続けば感染リスクはより高まる。「屋内の密閉した空間で、人が込み合う状況では感染を避けるためマスクは着用した方が良い」と話すものの、夏ならではの事情も考慮し、「換気が十分されている空間では熱中症対策のためマスクを外した方が良いだろう」と指摘する。
感染症予防では少なくとも1時間に1回以上、5分程度の換気が必要とされている。今田教授は「現実的にこの暑さで1時間ごとに5分程度喚起するのは難しいと思う。こうした場合はサーキュレーターなどを使い空気の流れがよどまないようにすることが大切だ」と話した。
夏は暑さで体力が消耗することで、免疫力が低下し、感染リスクがより高まる状況も引き起こすことから「夏ならではの体調不良に陥らないことにも留意してほしい」と語った。
熱中症の搬送者数、前年同期の約2倍
県消防救急課によると、5月1日~7月6日の熱中症搬送者数は累計265人で、前年同期比127人増となっている。今後も平年より気温が高く、蒸し暑い日が続くと見込まれ、県は小まめな水分補給や帽子の着用、適切なエアコンの使用といった対策を呼びかけている。
一方、県は9日、6月30日~7月6日の県内の感染者動向を発表した。39の定点医療機関を通じた新型コロナウイルス感染症の患者報告数は28人(前週比12人増)、1医療機関当たりでは0.72人(同0.31人増)だった。2週連続の増加で、庄内を除く4保健所管内で報告数が増えている。
百日ぜきの報告数は40人(同14人減)、伝染性紅斑(リンゴ病)の1定点当たり患者数は5.88人(同0.38人増)で13週連続の警報レベル(2人、参考値)となっている。
2025年7月10日山形新聞より




