広がる理解 600万円視野

フラワー長井線を運行する第三セクター、山形鉄道(長井市、中井晃社長・S48卒)が進める、路線存続に向け費用を募るクラウドファンディング(CF)が好調だ。先月3日の開始から2週間足らずで目標の250万円を突破し、現在は新たに掲げた600万円達成を視野に入れる。26日正午時点の総額は474万9020円。運転士不足や減便など喫緊の課題を広く共有する機会にもなっている。

フラワー長井線存続に向け、支援を呼びかけるクラウドファンディングサイト「うぶごえ」のプロジェクトページ=画像タップでサイトへ移動

同社は運転士の離職が相次いだほか、フィッシング詐欺被害にも遭い、運行・財務両面で「設立以来最も厳しい状況」(中井社長)に直面している。寄せられた支援は、減便解消などに向けた取り組みに充てる。

支援額が伸びている大きな要因の一つが、鉄道ファンの心をつかむ返礼品ラインアップだ。ヘッドマークを模したマグネットや全駅の硬券入場券セットなどの定番商品をはじめ、鉄道写真家と巡る長井線撮影ツアーや列車の運転体験といった参加画家企画も充実。中でも運転士が使ったダイヤ札や制服セットなど“本物”のアイテムは希少性が高く、設定枠が次々と埋まった。

CFプラットフォームとして鉄道特化型サイト「うぶごえ」を採用したことも奏功した。同サイトは雑誌「旅と鉄道」の後援を受け、全国の鉄道ファンに情報が届く。ローカル線を取り巻く厳しい状況に共感を寄せる層にとって支援先を見つけやすく、山形鉄道の置かれた現状についても、より幅広く伝わっている。

「全国から長井線に思いを寄せてもらえるのは心強い」と中井社長は話す。今回のCFは、苦境での単なる資金調達にとどまらず、地方公共交通の役割や持続可能性を、社会全体で問い直す契機にもなり得る。地方鉄道の行方を占う試金石として注視したい。

寄付は来月30日まで、CFサイト「うぶごえ」で受け付ける。(画像タップでサイトへ移動)

2025年11月27日山形新聞より