「課題研究」の授業で生徒を指導する宍戸俊文教諭(H2卒)=米沢市・米沢鶴城高

米沢鶴城高(米沢市)で商業科長を務める宍戸俊文教諭(54・H2卒)は地域と関わりながら、生徒を育てることを大切にしている。本県は少子化と若者の県外流出が大きな課題だが、「同じことを繰り返すだけでは少子化が加速する。地域の住民や企業と交流すればアイデアが形になり、米沢に残りたいと思う若者が増えるかもしれない」と語る。

商業科3年生が本年度から取り組む課題研究「チャレンジショップ」はその最たる例だ。生徒77人が18班に分かれ、地元企業18社と連携し商品開発に当たる。今秋の10月24日に市内の道の駅米沢で販売会を開き、ブースを設けて実際に市民や観光客向けに販売する計画だ。

生徒は週3時間の授業の中でアイデアを練り、企業担当者との計7回にわたる面談の中で磨き上げる。生徒たちは、教員からの指導はもちろん、企業担当者からもさまざまな助言をもらう。挑戦と失敗を繰り返しながら、ビジネスの基本や地域社会の中で生きる意義を学んでいく。

指導する商業研究部は昨年度の高校生徒商業研究発表大会東北大会で2位に入り、2年連続で全国大会にコマを進めている。右端が宍戸俊文教諭=2025年8月、酒田市総合文化センター

進路指導部長時代のネットワークや人脈を生かして地元企業に依頼した。宍戸教諭は「机にかじりつくだけが勉強ではなく、教科書からは学べないこともある」と語る。生徒にとっても実践でビジネスを学ぶ機会になり、教員は座学で知的財産の取り扱いや交流サイト(SNS)での情報発信時の注意点を指導する。

宍戸教諭は「商業」「情報」の教員免許だけではなく「社会教育主事」の資格も持つ。大切にしているのは、授業が一方通行にならないこと。教員と生徒、生徒同士の対話や議論も重視し、生徒への問いかけを欠かさない。時にはアイスブレークも挟み、生徒の発言を促す。高校生は大人になる直前の年代。指導は難しい点も多く、葛藤の日々というが、「授業に楽しさがないと勉強は身に付かない。生徒の力を伸ばしたい」と語る。

校務では他に商業研究部の顧問も務め、1~3年生6人の指導も担う。鶴城高は米沢商業高と米沢工業高が統合し2年目を迎えた。来年度から商業科と工業科の枠を超えて授業を履修できる制度も始まり、「両校の味を残し、よいところを交ぜ合わせたい」と宍戸教諭。自らのノウハウや仕事は少しずつ若手教諭に引き継ぎたいという。

宍戸俊文(ししど・としふみ)米沢市出身で、商業科教諭。米沢鶴城高には旧米沢商業高時代の2008年4月に赴任し、今年で19年目。3校目の勤務校で、米商勤務時代に担任として4期の卒業生を社会に送り出した。チャレンジショップの連携企業担当者には当時の教え子もおり、地域と学びをつなぐ実践を進めている。

2026年5月30日山形新聞より