有機農業を通して、地域とのつながりの大切さを教える丸山信輔教諭=高畠町・高畠高

生徒たちが自由に授業を選択できる総合学科の高畠高(高畠町)で、公民など複数の教科を受け持つ丸山信輔教諭(44・H12卒)は、地域に根付いた有機農業についても指導している。出身地の高畠で20年以上にわたって同校の教壇に立つ。「自分が生まれ育った土地の後輩たちに地域の良さを伝えていきたい」と語る。

米沢興譲館高(米沢市)を卒業後、立教大に進学した。「一度離れたことで、四季を通して収穫できる食べ物がある高畠の良さに気付いた」と実感を込める。新卒で同校に赴任。有機栽培の知識はほぼなかったが、地元ならではの人脈を生かし、農業に従事する同級生などに教わりながら生徒への指導に当たってきた。

授業名は「有機農業の社会」。就農を目指す生徒ばかりではないが、授業を通して校外の人との関わり方も身に付けさせる。「地域に根ざした農の営みを通して、社会を学ばせたい。農業の楽しさを感じる場にもなればいい」と語る。

授業では「実食」というゴールに向け、年度初めに栽培したい作物を生徒たちから聞き取る。トマト、ナス、キュウリといった定番のほか、シシトウ、ショウガなどさまざまな野菜作りに挑戦してきた。栽培はうまくいかないこともあるが、「生徒たちのためなら」と地域の農家が助言や指導に手を貸してくれる。

高畠町で開催されたマルシェで、買い物客にマスコットキャラクターを紹介する高畠高生=同町・よねおりかんこうセンター

日頃の農作業に加え、昨年は若手農家と町産サトイモのブランド化に向け、マスコットキャラクターを作った。キャラを印刷した包装袋に、生徒たちが栽培したサトイモを入れて同町のよねおりかんこうセンターのマルシェで販売した。「地域の人との成功体験が良い思い出として生徒たちに刻まれたと思う」と丸山教諭は目を細める。

生徒からは「自分の作ったキャラが店頭に並んだのがうれしかった」などの声が聞かれた。農家からは「想像以上の出来上がりに驚いた。今後も協力して高畠の農業を盛り上げてほしい」と期待した。

同校を卒業後、地元に残る生徒と顔を合わせる機会も少なくないという丸山教諭は「社会に出て、視野を広げた教え子たちに会うとうれしくなる」とほほ笑む。再会に感慨を覚えつつ「これからも地域とのつながりを大切に頑張ってほしい」。そう強く願っている。

プロフィル

まるやま・しんすけ 公民の他に地理歴史と福祉も担当する。小学校から大学まで野球に打ち込み、現在は40歳以上が参加できるマスターズ大会に出場。同校野球部の顧問も務めており、「まずは1勝」を目標に熱血指導に当たる。

2026年6月27日山形新聞より