米沢ゆかりの戦国武将・上杉謙信の生誕500年に当たる2030年を前に、米沢市の8個人・団体と、その県連10施設が民間活力を結集し、観光客の滞在と回遊を生む大型連携事業に取り組む。事業費2億7千万円の半分は観光庁の補助金で賄うが、残りは自ら負担。上杉神社を核とした街中エリアが年度内にカフェや宿泊施設などハード面を整え、10施設で年間3億円の売り上げ増を目指す。

想定エリアを▽上杉神社を中心にした上杉文化エリア▽老舗の酒蔵や醸造所など発酵食に関する会社が集う旧東町エリア▽山形大米沢キャンパス内にある国指定重要文化財「旧米沢高等工業学校本館」―とした。この3エリアを結び、回遊や滞在、消費を促す。昨年度に取り組んだ調査事業を基に、計画を練り上げた。

事業をまとめた観光まちづくり会社プラットヨネザワによると、同神社周辺への来訪者のうち県外からが5割以上を占めるが、30分未満で離れる割合は65%以上に上り、通過型の観光構造にとどまる。10施設をより魅力的に改修し、上杉神社に一点集中している来訪者を他エリアに誘導する。

計画では、築100年以上の古民家「小島伝承の館」を発酵カフェとして活用し、旅館運営「福島屋」は空室の多い企業社員寮をインバウンド(訪日客)にも対応する街中ホステルに改修。織元の「旧白根沢邸」は富裕層向け宿泊施設に衣替えする。老舗「東光の酒蔵」も富裕層が日本酒と料理のマリアージュを楽しむ拠点にし、「旧遠万織物」の歴史的建造物は米沢織の展示施設や原方刺し子の体験工房として整備する。

「肉のすがい」は老朽化物件を使い、街歩きを促す食体験や物販の提供店舗を用意する。上杉神社の宝物殿「稽照殿」に人流を産むため、境内にある授与所の窓口を南向きから西向きに変える。観光施設の「上杉城史苑」は多言語対応とし、滞在時間を延ばす工夫に着手する。「東町ポケットパーク」を駐車場、「マチスタジオ」1階は交流エリアとして活用する。

ハード整備は来年2月までに完了し、来年度は生まれ変わった10施設の運営を始める。30年の中心エリア来訪者数の目標に現行の1.5倍以上になる100万人を掲げた。プラットヨネザワの宮嶋浩聡社長(H15卒)は「観光客の回遊を生むことで滞在型観光の受け皿になる」と展望した。

2026年7月3日山形新聞より