少子高齢化や医療人材不足を背景に、米沢市立病院と三友堂病院が機能を分担しながら一体的に整備した新病院が2023(令和5)年11月1日、開院した。公立と民間が独立しながら連携し、施設を合築するのは全国初。県内2例目となる地域医療連携推進法人「よねざわヘルスケアネット」を本格的に始動させ、経営効率化をはじめ持続可能な地域医療の提供に向けた取り組みを進めている。

協議を重ねて

連携の発端は16年、医師不足で市立病院の精神科が休止を余儀なくされたこと。両病院は手術や救急などで急性期医療を担う一方で、高齢化の影響から慢性疾患の需要が高まっており、急性期の必要病床の減少が見込まれていた。患者や医師を奪い合う状況も予想された中、三友堂が回復期・慢性期を担う形で市立からの申し入れに応じた。17年に検討委員会を設置し、転院の基準など多岐にわたる項目で協議を重ねた。

新病院は旧市立病院南側に建設され。市立が8階、三友堂が7階建て。延べ床面積は計約4万2900平方メートルで、機能を集約し、両院の病床数は165床減の462床となった。一方で、5床だった市立の集中治療室(ICU)は集中治療センターとなり、高度治療室(HCU)を合わせて18床、三友堂の人工透析部門は20床から50床に増えた。1~5階部分を渡り廊下で連結し、症状が安定した患者や急変した患者を双方の病院に転院搬送できるようにした。総事業費は市立が約162億円、三友堂が約87億円。

米沢市立病院と三友堂病院が一体的に整備した新病院の開院を伝えた山形新聞1面(2023年11月2日付)

ライバル同士

開院した翌日付の本紙1面では「全国初 公立・民間 独立し合築」という見出しと共に、両病院の入院患者約240人が新病院に移送された様子を掲載した。開院当日付から5回にわたり、全国初の取り組み「米沢モデル」の背景や特徴、期待される効果を紹介した。

病院連携の経緯を振り返り、今後の展望を語るよねざわヘルスケアネットの仁科盛之代表理事(S41卒)=米沢市

三友堂病院理事長で、米沢ヘルスケアネット代表理事の仁科盛之さん(78・S41卒)は「置賜の地域医療を守るためには必要な連携だった」と語る。医師や看護師からの懸念もあったといい「共に医療技術を競い合ってきたライバル同士。それでも機能を分担させることが地域にとってベストだと説得を続けた」と当時を振り返った。コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)といった医療機器の共同利用を進めたことで。医療の質を維持しながら医師や看護師の労働時間削減につながったという。

新病院の開院から3年を迎え、経営効率化のため医薬品の共同利用に向けた取り組みも進めている。人口減少に伴う患者数の減少や、高齢化による慢性化医療の需要増が見込まれるほか、医療人材の不足など課題は山積しているといい、仁科さんは「医療の質を担保していくために、地域全体で連携を推進していく必要がある」と語った。

2026年8月10日山形新聞より