一点物のバッグ制作に取り組み、国内外で注目を集める作家が川西町にいる。米沢中央高英語教諭の紺野ゆかりさん(59・S60卒)=同町上小松。高い独自性と手仕事で自身の世界観を表現し、7月にはイラン政府からイラン日本芸術友好親善大使に任命された。自分の価値観を表現する楽しさを多くの人に伝えたいと、将来的に教室の開校も見据えている。

紺野さんが手がけた一点物バッグ

日本の美術全国選抜作家展、法隆寺芸術祭のほか、英仏などでの国外展覧会にも出品。西陣織や世界各地の民族衣装の生地をベースに、天然石やビーズ、伝統的デザインなどを組み合わせて一つにまとめる。

紺野さんによると、ある作品展の審査員からは「これまでに見たことがない作品」との評価を受けたという。バッグを構成する一つ一つの要素を通じ、日本と世界を融合する内容が評価されている。

親善大使に任命されたのは昨年、奈良県でのこと芸術祭に出品した作品「神獣~古代ペルシャから春日に吹く風」がきっかけ。イランと奈良で神獣とされる鹿をイメージし、その角を大胆にあしらった。また、西陣織やイスラム美術の特徴の幾何学模様を取り入れ、日本とイラン両国の特色お溶け込ませた。

親善大使の任命状を受け取る紺野ゆかりさん(S60卒)=7月4日、東京

独自の領域を切り開く背景には、学生時代などにバックパッカーとして世界を旅した経験がある。

アフリカで見た圧巻の天の川や、スコール後の光芒に照らし出されたシマウマ、オーストラリアの海に広がるサンゴ礁に心打たれた。また、マサイ人のおばあさんの暮らしぶりや美しい瞳を今なお鮮明に記憶する。地球上の多様な自然や文化に接し、あらゆるものに価値があるとの精神性が制作に反映されている。

南陽市出身で、吾妻連峰や水田を望む自宅に暮らす。デザイナー名は「田園のリセ」。リセは仏語で「学び」などを意味し、四季折々の庭の花などを使ったテーブルコーディネートやフラワーアレンジメントにも造詣が深い。

「バッグ制作のみならず、多くの人が暮らしに彩りを添え、日常の中に楽しみを見いだすお手伝いがしたい」。世界中の風土に触れ、古里の自然や文化を愛する作家が今後、地域にどのような化学変化をもたらしていくのか楽しみだ。

2026年9月3日山形新聞より