本県の技伝えたい「戦後稲作史」発刊・県産米開発手掛けた元県職員田中順一さん

田中順一さん(S42卒)に関連するニュースです。

 県職員として県産米「はえぬき」や「どまんなか」、「つや姫」の開発に携わった田中順一さん(72・S42卒)=南陽市長岡=が、本県のコメ作りの歴史や取り組みを技術的見地からとらえた「山形県戦後稲作史」を発刊した。「輝かしい歴史を若手農家や稲作技術者に少しでも伝えたい」との思いを、550ページ弱の大作に込めた。

 田中さんは宇都宮大大学院農学研究科(修士)を終了した1973(昭和48)年県庁に入庁。2009年に農林水産物次長として退職した。36年に及ぶ職員生活の全てを農林分野にささげた。退職後はインドでの稲作技術指導、姉妹県州のインドネシア・パプア州からの研修生受け入れ時にはアドバイザーを務めるなど、農業を通じて国際的にも貢献している。2013年からはタナカ農産研究所(南陽市長岡)の所長として活動している。

 本の執筆は県職員時代にまでさかのぼる。仲間たちと酒を酌み交わすたびに「戦前までの稲作史は存在するが戦後はない。作るべきだ。」と盛り上がった多くの仲間が熱い思いをぶつけ合ったが、酔いがさめると誰もがなかなか行動に移せない状況が続いた。主要県産米を手がけてきた自負と誇りから、「それでは自分が」と、退職前に資料の収集に取り掛かった。

 明治期以降の技術革新の様子、施肥技術の高度化、機械化の進展に伴う収量や策付け品種の変遷を資料を交えて紹介。本県のコメ作りの強みは「単収(10アール当たり収量)の高さ」とし、今後の方向性として「コメ作りを担う人が報われる仕組みが必要」と主張している。このほか、亀の尾やササニシキ、さわのはなといった品種別の物語や歴史、気象災害と作柄の状況などを紹介しているほか、生産調整のあるべき姿についても提言している。

 「山形県戦後稲作史」はA4判536ページで、価格は5千円。550部印刷し、残りは200部ほどとなっている。問合せや申し込みは田中さん。電話かファクス、メールで受け付ける。電話とファクスは0238(43)6847、メールはzyunichitanaka@gmail.com。

2021年6月20日山形新聞より