枝折れが確認されたブドウ。クマが折ったとみられる。=南陽市松沢

南陽市松沢のブドウ直売所「安達農園」の安達芳紀代表(43・H9卒)が園地内で、クマが収穫前のデラウェアを次々と食べる映像を撮影した。ブドウの産地の同市と隣接する高畠町でも同様の被害が相次いでおり、高級ブドウ「シャインマスカット」の収穫が本格化するのを前に、行政が注意を呼びかけている。

安達代表によると、直売所近くの山の斜面の園地に異変を感じたのは8月10日ごろ。ブドウが食べられた痕跡を確認した。

枝が折れているなど、例年のカモシカやサルなどの被害状況と異なることから赤外線カメラを購入し、同22日夕方に園地に設置。カメラには23日午前3時10分過ぎと同午後11時半ごろ、園地内でブドウを物色したり、次々と食べたりする姿が映っていた。クマの体長は150~160センチとみられる。

「近隣の被害は聞いていたが、うちにもとうとう来たなと思った。早朝の作業が多いため、恐怖心も増幅した」と安達代表。23日に市役所に通報したところ、今月上旬、成獣1頭を捕獲したとの連絡が来た。

安達代表の園地では、12アールのうち約4分の1が被害に遭ったが、全ての果実を収穫したため、被害はなくなった。ただ、近くの園地では収穫前のシャインマスカットやピオーネといった大粒ブドウの被害が続いているという。2020年10月には高畠町竹森で、シャインマスカットが3日間にわたって食い荒らされる食害が発生している。

シャインマスカットは、収穫本格化が間近。南陽市農林課は「園地周辺の草刈りでクマの隠れる場所をなくすなどの対応が必要。猟友会と協力しながら追い払いも必要に応じて行う」、高畠町農林振興課は「電気柵購入補助などで食害防止を進める」などとしている。

2022年9月15日山形新聞より
支柱に手をかけ、デラウェアを食べるクマ=南陽市松沢