「若い人に『料理人って格好いいな』と思ってもらえるような料理を作りたい」と話す原田誠シェフ
=南陽市赤湯「山形座 瀧波」

「新潟と料理人・生産者つなげたい」

 新潟県三条市でミシュラン一つ星レストランのオーナーシェフとして活躍していた原田誠さん(48)が、山形県南陽市にある赤湯温泉の旅館「山形座 瀧波」のシェフに就いた。長引くコロナ禍がもたらした思いも寄らない縁。原田シェフは「新潟と山形の料理人や生産者をつなげていきたい」と抱負を口にする。

三条市出身の原田シェフは2010年、市内にイタリア料理店「イル リポーゾ」をオープン。厳選した地元食材に「泡のソース」や「瞬間燻製(くんせい)」といった独特な調理法を駆使し、食通を魅了してきた。東京への出店オファーが絶えなかったが、地元とのつながりを重視する姿勢を取ってきた。

20年7月に「ミシュランガイド新潟2020特別版」で一つ星を、21年にはフランス発祥のレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」でも3トック(20点満点で16点「素晴らしいレストラン」評価)を得た。

そうした評価の高まりが「より上を目指そう」という心境の変化をもたらしたという。店舗の改装費用なども考えると、東京・銀座への出店の誘いは魅力的だった。昨年5月に店を閉めて、移転の準備に入った。

そこをコロナ禍が襲った。提携予定先がコロナ下での業績不振にあえぎ、業務の縮小を決定。出店の話も先行きが見通せなくなってしまったという。そんな時、旧知の料理評論家から「瀧波の料理のレベルアップに協力してくれ」と頼まれたのが転機になった。

同7月から瀧波の大前拓也料理長とタッグを組むと、もともと和食の料理人だったこともあって意気投合。さらに南浩史社長(S57卒)からは連日、「一緒にミシュランの二つ星を取ろう」などと猛烈なアピール。「熱量に根負け」して、同9月から入社することになった。

同12月にあった報道向けの報告会で、原田シェフは、山形について「野菜、フルーツ、米沢牛の素晴らしさに改めて感動した。作り手がものすごく勉強しており、そのレベルの高さにも驚かされた」と評した。

さらに、経営面を担わず、料理に専念できる環境に「素晴らしい食材と充実した厨房(ちゅうぼう)設備を自在に使わせてもらえる」と話し、「星を二つ、三つと狙っていきたい」との意欲だ。

南社長は「原田シェフは新潟で若手の育成に力を入れてきた。若手育成のほか、新潟との連携など、山形でもさまざまな化学変化をもたらしてくれるに違いない」と期待を語った。

令和4年1月18日朝日新聞より
「冬籠り」のタイトルが付けられた舟形マッシュルームとやまがた地鶏のスープ。泡仕立てが特徴だ。
=原田シェフの料理。
「白雪」冬野菜と旬の白身魚が使われている。和とイタリアが融合した一皿だ。
=原田シェフの料理。