白鷹町出身の偉人、佐野利器の功績を紹介している =町歴史民俗資料館「あゆみしる」

耐震構造の第一人者として知られる白鷹町出身の建築家、佐野利器(としかた・1880~1956・M31卒)の功績を伝える企画展が、町歴史民俗資料館「あゆみしる」のグランドオープン記念として開かれている。来月29日まで。

佐野は同町荒砥の山口家に生まれ、幼少より数学の天才と称された。勉学を続けるために上山市の佐野家の養子となった後、現在の東京大学で学んだ。1914年に完成した東京駅の鉄骨構造計算を担い、国指定重要文化財となっている神奈川県庁舎(28年竣工)の建設に携わった。関東大震災の復興、耐震強度の算出方法の確立、メートル法やローマ字の普及、当時6年だった義務教育の「6・3制」への延長など、幅広い分野に携わり、日本の発展に貢献してきた。

展示室には手帳や表彰状、手掛けた建築図面などが並ぶ。10歳のころに描いたとされる見事なたこ絵、孫たちに宛てた年賀状など、その非凡ぶり、家族思いな人柄を感じさせる品もある。石井紀子学芸員は「現代の暮らしにもつながる、郷土の偉人の功績を知ってほしい」と話している。

開館は金、土、日のみで、観覧料は一般200円、中学生以下無料。4月はグランドオープン記念で観覧無料としている。

2022年4月29日山形新聞より