ヒョウタンの形を生かし、多彩な作品を手掛ける千葉三朗さん(S45卒)=米沢市

「多くの人に気楽に体験してもらえたら」

ひょうたんアートに取り組む千葉三朗さん(70・S45卒)=米沢市太田町5丁目=の作品は優しい明りが漏れるランプシェードから、愛きょうたっぷりの起き上がりこぼしまで多彩だ。自らの創作活動はもちろん、今は、講習会で多くの人にひょうたんアートの魅力を伝える時間が楽しいという。

県職員として福祉分野を担当した20代の頃、家庭訪問の際、ひょうたん工芸を見かけることがあった。元々漫画を描いたり、何かを作ったりすることが好きで、ひょうたん工芸にも興味が湧いた。この時一度、栽培から取り組んでみたが、仕事が忙しく断念。「いつか必ず」との思いを持ち続け、定年退職間近の57歳の時、再挑戦した。

63歳の時、初めて個展を開き、65歳で自宅に「ひょうたん工房てぼっこ」を構えた。今は2020年に発足した米沢ひょうたん愛好会の事務局長、南部コミュニティセンターの館長も務める。これまで100ほど作った中の自信作はフクロウを模したランプシェード。それぞれ異なるヒョウタンの形を生かし、イメージを膨らませて作品に仕上げるのが楽しいという。

ヒョウタンの栽培も手掛ける。4月に種をまき、柵を作り、人工授粉、落下防止とこまめに世話をする。収穫期は8月下旬から9月上旬。その後、中身を取り除き、乾燥させ、ようやくアートに使える材料が完成する。今年は大雨の影響で不調というが、昨年は約800個を収穫した。ほとんどが講習会で使うためのものだ。

千葉さんが「今一番楽しい」と話すのが講習会。創作が進むにつれ、参加者の表情が生き生きしてくるのがうれしい。自身が魅力にどっぷりはまっているからこそ、「多くの人に気楽に体験してもらえたら」と願う。

2022年9月4日山形新聞より
千葉さんが制作した起き上がりこぼしなど個性豊かなひょうたんアート