土砂で埋まりパイプが流される被害を受けた露天風呂も復旧し、客を迎える準備が整った=米沢市・大平温泉

今年の豪雪、豪雨で被害を受け、急患が続いていた米沢市の秘湯・大平温泉の営業再開にめどが立ち、2日から今期の営業をスタートする。相次ぐ自然災害を乗り越え、ハイシーズンの10月を前に再開にこぎ着け、関係者には安堵の表情がにじんだ。

最上川源流にある同市李山の一軒宿・大平温泉滝見屋は例年冬季休館し、ゴールデンウィークに営業を始める。今年は例年にない豪雪で建物の柱が損傷するなど大きな被害を受けた。追い打ちを掛けたのが川沿いの露天風呂に土砂が流入し、源泉を引くパイプや囲いが流された6月の大雨だ。8月には豪雨で再び露天風呂に土砂が流れ込んだ。

度重なる災害に「やりきれない思いがあった」と若女将の安部里美さん(43・H10卒)は話す。露天風呂は土砂が流入しにくいよう、かさ上げし、約1週間前に準備が整った。建物は修繕作業が続くため、11月初旬まで、週4日程度、客室を半分ほどにして営業する。

支えとなったのは、地元の仲間や宿のファンの復旧ボランティアや支援金を含めた応援だ。多くの人の力で秘湯文化が守られていることを感じたという。安部さんは「気候変動の中、どうしたら持続していけるかを考えている。山形の自然の豊かさを感じてもらえる場所であり続けたい」と語る。

2022年9月2日山形新聞より