本県出身の画家2人の企画展「没後50年 土田文雄展」と「近岡善次郎 聖なるイメージ」が14日、山形市の山形美術館で開幕した。色鮮やかな人物画や幾何学的な構成で描いた風景画、キリスト教絵画の影響を受けた母子像や山形の民話を題材にした油彩画などが並び、同じ時代に活躍した画家の作品を比較しながら楽しむことができる。ともに来年1月28日まで。
土田文雄さん(1901~73年・T7卒)は米沢市に生まれ、美術団体「国画会」を中心に活動。武蔵野美術大教授を務め、豊かな色彩で多様な表現を試みた。会場には初期作品から絶筆まで約70点を展示。海の風景を描いた50年代の連作をはじめ、具象画から抽象画への変遷が一目で分かる。
新庄市出身の近岡善次郎(1914~2007年)は、欧州留学を経て東北の民間伝承やそこで生きる人々などをモチーフに油彩画を描き続けた。慈愛の母子たち▽祈りの風景▽息づく民俗のかたち-の3章構成で約30点を展示。自分なりの聖像を表現したガラス絵「聖エリヤ」も並ぶ。
担当する学芸員は「当時の画家は、日本で展示会が開かれたピカソとマティスらの影響を受けている。2人の展示作にもその影響が出ているが、それぞれの視点で違う表現をしているのが興味深い」と話した。
2023年12月15日山形新聞より