性の知識を伝える文章やイラストが入ったトイレットペーパーが5日、米沢市の米沢一中(冨所謙一校長・S56卒)に寄贈された。性被害を防ぐため、子どもが正しい性教育に触れるきっかけにするため作られた製品で、生徒が議論を交わして導入を決めた。同校の全てのトイレに設置される。
性教育トイレットペーパーは、子どもの性教育に取り組む静岡県の団体が2019年に製作した製品。男女の体の仕組みから、性自認に関すること、性被害に遭わないための断り方などが描かれている。不登校生徒の支援などに取り組む米沢市のNPO法人「With優」の白石祥和代表(H12卒)が賛同し、今年8月から置賜地域の学校へ設置を提案している。寄贈された性教育トイレットペーパー
性教育はデリケートな問題。導入に消極的な学校が多い中、米沢一中は生徒に設置の判断を委ね、1~3年生でつくる保健委員会の26人が導入について議論を交わした。「自分の身を自分で守るため、正しい知識を身に付けることは大切」「性について、周りに気軽に相談できる雰囲気につながる」といった賛成意見の一方、「いたずらに使われるかもしれない」「トラブルに発展するのが怖い」といった懸念の声も上がった。話し合いの末、トイレットペーパー導入の意義を全校生徒にしっかり説明した上で設置することを決めた。
5日、全校集会で贈呈式が行われ、県の「やまがた社会貢献基金」から助成を受けて購入した200ロールが寄贈された。保健委員長を務める3年高橋祐馬さん(14)は「学校から導入の判断を任されて、信頼されていると感じた。しっかり管理し、みんなが正しい知識を得るきっかけにしたい」と話した。同校の他にも、置賜地域の中学校2校でも導入の準備が進められている。
2021年10月6日山形新聞より