峠駅近くの自然の中にオープンした無人宿「ECHO」=米沢市大沢

峠駅近くの新拠点に

秘湯として知られる米沢市大沢の一軒宿・滑川温泉福島屋(笹木和夫社長)が、JR奥羽本線の峠駅近くに、無人宿「ECHO(エコー)」をオープンした。若者層や家族連れが利用しやすい施設とし、秘境感あふれるエリア一帯の新たな拠点としたい考えだ。

宿は峠駅から徒歩5分程度の沢沿いに位置し、最大6人が利用できるN棟(北側)、同3人利用のS棟(南側)の2棟。延べ床面積は各約110平方メートル、約80平方メートル。2階建てで、リビング、キッチン、サウナ、風呂、トイレ、ベッドルームがある。外観はスイッチバック遺構などがあり、産業遺産としてファンが多い峠駅のノスタルジックな雰囲気を取り入れた。

滑川温泉の客層は関東圏の50代以上が中心で、設備が限られているため、家族連れにはハードルが高い面があった。新施設は20~30代の若い層や家族連れも滞在しやすい場所とした。通年営業し、宿泊料金は1棟4万円程度。バーベキューなど簡単な調理で楽しめる食材付きのプランも用意する。原則スタッフは常駐せず、利用者は宿泊前日に通知されるパスワードを入力して入室する。事業費は約6千万円で、国の事業再構築補助金を活用した。

周辺では、秘湯や峠駅近くの飲食店、観光まちづくり会社プラットヨネザワ、JR東日本などによる峠エリア協議会が昨年発足し、エリア一帯の再ブランド化を図っている。協議会の会長を務める福島屋の笹木雅生専務(42・H12卒)は「このエリアにどう人を呼び込むか、秘湯をどう生かしていくかが課題となっている。新施設では、自然の中で、何もしないぜいたくな時間を過ごしてほしい」と話す。

問い合わせは福島屋0238(34)2250。

2023年7月29日山形新聞より