老朽化し、通行止めになっているつり橋

米沢・滑川大滝 旅館がプロジェクト

日本の滝100戦にも選ばれている米沢市の名瀑「滑川大滝」に通じるつり橋の復活プロジェクトが進んでいる。管理する地元の温泉旅館は「橋を復活させて東北最大級の大滝を多くの人にもてもらいたい」と訴えている。

大滝は、高さ80メートル、幅40メートル。現在のつり橋は老朽化で通行止めになり、6年前から近くの川の中を歩いていくしかない状況だ。増水時は歩けなくなるため、最も迫力ある時の姿を見ることができなくなっている。場所は同市の秘湯、滑川温泉近くで、同温泉唯一の旅館「福島屋」から徒歩20分の所にある。つり橋は同旅館が所有し、管理している。

福島屋は「滝の絶景をこのまま埋もれさせるのは非常に惜しい」と復活プロジェクトを企画。コロナ禍で経営が厳しくなっている中、修理費などを募るクラウドファンディング(CF)を9月末まで実施している。

CFの目標額は500万円だったが、23日現在、約360人から目標を超える計約530万円が集まっている。現金の寄付を含めると600万円を超し、この中から修理費の462万円と、寄付者へのリターン(返礼品)の発送費などをまかなうほか、新たに滑川大滝の案内板も修理することにしたという。リターンには福島屋の宿泊券や、つり橋復活後の維持費に充てる通行券などを用意している。

来春の雪解け後に本格的な修理を予定しており、福島屋の笹木雅生専務(H12卒)は「来た人に残念がられ、『有名な滝なのに橋の修理もしないようでは米沢の観光は駄目だね』とも言われる。登山者も減り、道も荒れてきている。今が最後のチャンスかもしれず、多くの人に協力して欲しい」と説明している。

2021年9月24日朝日新聞
東北最大級の名瀑「滑川大滝」