閉店を知らせる張り紙を見つめる相田克平店長(S60卒)=米沢市中央1丁目

暴行事件で弟亡くした男性、開業し四半世紀・米沢

米沢市の中心街にあるコンビニエンスストアが13日、四半世紀の歴史に幕を下ろす。1995年の暴行事件で当時大学生だった弟を亡くした相田克平店長(56・S60卒)が「24時間明かりがともり、何かあれば逃げ込める場所をつくりたい」と事件現場近くに構えた店だ。

店はファミリーマート米沢中央1丁目店で、97年にオープンした。新型コロナウイルスの影響で売り上げが減り、競合店の存在もあって昨年12月、本部が契約終了を決めた。

95年に起きた暴行事件が回転のきっかけになった。エンジニアを目指して山形大工学部に通っていた弟の誠さん(当時21・H4卒)が、同市中央1丁目の飲食店で友人と酒を飲んでいた際、客の男らに言いがかりを付けられて暴行を受け、亡くなった。

治安の向上を願った家族は山形大生らと、交番設置を求める署名活動を展開した。約2万筆を集めたが、設置には至らなかった。そこで克平さんは、コンビニに注目し「24時間明かりをともすことができる」と出店を決意した。事件現場から80メートルほど離れた場所で、ちょうどテナントの募集があり「弟がここで店をやれと言っているのかな」と感じたという。

店舗経営を機に、まちづくりに関心を持った克平さんは2007年に市議会に初当選し、現在は議長を務めている。

けがをした人が駆け込んできたこともあったが、開店以来、周辺で重大な暴力事件は起きていない。閉店を知らせる店内の張り紙には「これからもこの街の灯りを守り続けてください!」と変わらない思いをつづった。店は13日午前9時で営業を終了する。

2023年1月13日山形新聞より