江戸から昭和初期に活躍した郷土力士の活躍を貴重な資料も添えてまとめた小形芳美さん(S49卒)=南陽市荻

南陽市荻の相撲研究家・小形芳美さん(67・S49卒)が、江戸から昭和初期に活躍した郷土力士の生い立ちや武勇伝などをまとめ、冊子化した。人気力士出羽ケ嶽(でわがたけ)(上山市出身)や、豪傑といわれた雷電為右衛門(らいでんためえもん)に黒星を付けた春日山(かすがやま)(鶴岡市出身)など、これまで脚光を浴びなかった力士を含めて9人を紹介している。

江戸から昭和初期の9人紹介

小形さんはかつて獣医師として県農業共済組合(NOSAI山形)に勤務し、長年、相撲や郷土史を研究している。「相撲が盛んな土地柄を再認識することで、郷土愛の醸成につなげてほしい」と、昨年1月から冊子の編集を始めた。力士の生家やその近隣住民の取材内容も盛り込んだ。

大正から昭和初期にあって身長が204センチあった出羽ケ嶽については、小学校入学時に160センチあったことや、関脇から三段目に転落しても土俵に執着した気構え、年寄株を売り屋台の焼き芋屋に転身した晩年までを掲載した。51歳まで現役だった春日山については、雷電との取組を考察した。詳細な記録は残っていなかったが「春日山は5尺3寸5分(約162センチ)の小兵、雷電は6尺5寸(約197センチ)あった。意表を突いた策で立ち向かったのだろう」などと分析した。

さらに、長瀞の怪童こと大童山(だいどうざん)(東根市出身)、酒にまつわる武勇伝も残る達ノ矢(だてのや)(長井市出身)、美貌が評判の朝日嶽(あさひだけ)(鶴岡市育ち)、堅実さで知られる釈迦ケ嶽(しゃかがたけ)(山形市出身)、幕内で17年活躍した常山(つねやま)(酒田市出身)、親方を殴った型破り大関大達(おおだて)(鶴岡市出身)、小兵の業師岩戸山(いわとやま)(三川町出身)も詳しく紹介している。

冊子はA4サイズ24ページ、写真資料13ページで南陽市の吉野公民館、宮内公民館で閲覧できる。問い合わせは小形さん0238(41)2103。

2023年1月17日山形新聞より