「誇り持てるまち」へ・空き家、工場活用も模索・指針案まとまる

歴史的な街並みが残る米沢市「東町」からまちづくりを考えようと、市民有志による東町プラットフォームが昨年、始動した。本年度は活動指針を示す「東町未来ビジョン」の策定へ話し合いを重ねてきた。「住民が誇りを持てるまち」などさまざまな思いを反映した指針案がまとまり、今後の取り組みが注目される。

東町プラットフォームの未来ビジョン策定会議で話し合うメンバー=2022年12月、米沢市南部コミュニティセンター

米沢城東側に位置した「東町」は現在の大町と本町にまたがるエリアだ。古い建物からはかつての商人町の名残が感じられる。まちづくりはこのうち、南北約300メートルにわたる東町上通りで、町内会の協力を得て進めてきた。

プラットフォーム発足を主導したのは地元若手経営者らでつくるまちづくり会社「ウコギ社」(小嶋健市郎代表・H11卒)。「いろんな声をつなぐ場に」との思いから、官民の垣根を越え、市、東町上通り町内会、山形大、米沢信用金庫、観光まちづくり会社「プラットヨネザワ」と6団体で結成した。

昨年12月の第6回会議では指針の骨格が示された。これまでの話し合いで得られた方向性を確認し、住民が理解しやすいよう、さらに構成を練った。打ち出した「東町未来ビジョン」の基本理念は「歴史・個性を誇りとし、多様な人々が参加するまちづくり」だ。具体的な目標として「上杉の城下町として歴史を感じるまち」「景観のあり方を議論して地域の総意をつくる」など七つを掲げ、町内全戸に資料を配布した。

指針策定の一方で、県外の建築家と連携し、空き工場や空き家の活用も模索してきた。上通り北端には旧東町郵便局を利活用したコミュニティスペース「東町ポスト」がある。これに加え、納豆工場だった場所は、まちづくり拠点のシェアオフィスとして4月に生まれ変わる予定だ。空き家には山形大工学部の学生の発想を生かしたシェアハウスとなる見込みで、来年度の設計を目指している。

指針案は住民意見を踏まえ、27日の会議で修正を加えるなどして完成に至る。プラットフォーム結成から約8カ月。丁寧に作り上げた未来ビジョンを元に、来年度はより具体的な実施計画を練る予定だ。ウコギ社の小嶋代表はビジョンの中で1年を振り返り「まちのエンジンが少しずつ温まり、ギアを上げていく年にしたい」と締めくくった。各団体の知恵を熱意を結集し、他地域のモデルとなるような。アイデアにあふれるまちづくりを進めてほしい。

2023年1月26日山形新聞より