小学生から40代・12人利用、就職内定者も

ひきこもりなどに悩む当事者が自宅を数日間離れて、自立・就労や家族関係改善の契機にすることを目指す、米沢市のNPO法人With優(白石祥和代表・H12卒)が運営する「第2の家」が、昨年8月の開設から半年が過ぎた。小学生から40代までの12人が利用し、小食が内定するなど成果が出始めている。

「第2の家」で利用者と話し合う白石祥和代表(H12卒)=米沢市

With優が寄付や山形新聞社のクラウドファンディング「山形サポート」を活用し開設した。宿泊費は1泊千円。「短期間自宅を離れて安心して過ごせる場所」は珍しいという。自家用車を持たず生活が苦しい人、家族との生活を望みながら関係に悩む児童などの利用があった。延べ宿泊数では40代の利用が最も多くなっている。

置賜地域の男性(48)は実家で20年近くひきこもり生活を続けていた。大学卒業後に関東で就職し、退職してUターン。仕事を探したが採用に至らず「心が折れた」という。With優や他団体とかかわりを持ち、仕事への意欲が芽生えた時期に「第2の家」が完成した。ここではスタッフと語らい、一緒に酒を飲むこともあるとし、「同年代が(施設を利用し)頑張っている話を聞くと刺激になった」と話した。

男性はこれまで3回の滞在中、何かを実行することを目標にした。短期のアルバイト就労を決め、携帯電話を契約した。3月下旬の滞在では就職希望先を絞り込んだ。白石代表らと相談して面接を申し込み、支援者から寄せられたスーツで臨み、内定した。サービス業に従事するという。

白石代表は「労働意欲のある人がスタートラインに立つ支援として手ごたえを感じている」とし、家族との関係では少し離れることが変化や再構築のきっかけになる―と説明する。ただ運営継続に活用できる補助金制度は見つからず資金が課題という。「引き続き寄付をお願いしながら、ニーズに対応できる仕組みを行政と一緒に考えていきたい」と語った。

2023年4月2日山形新聞より