結で接客をする若者ら。利用客にも支えられ、10周年を迎えた=米沢市
就労訓練続け、58人が社会に

不登校や引きこもり、就労の悩む若者の支援に取り組むNPO法人「With優」(米沢市)が運営する会員制居酒屋「結(ゆい)」が今月、オープン10周年を迎えた。実践的な就労訓練の場として、58人を社会に送り出すとともに、こうした若者の現状に地域住民が理解を深め、応援する場ともなっている。

結は若者が経験を積み、就労後もつながり続けられる場をつくることを目的に、2013年2月にオープンした。同法人が運営する置賜若者サポートステーションの利用者とスタッフらが中心となって準備を進め、開業のための寄付金集めも行った。趣旨に賛同する客による会員制で、現在は4800人超が登録する。

法人の就労支援スタッフと連携し、これまでに約70人が結でトレーニングを積んだ。多くは「人と関わらない仕事に就きたい」と訓練を始めるが、食品製造や介護、調理などの現場、小売店のレジ担当など、多様な職場に就職している。結の客に勧められ、パソコン関連の会社に就職した同市出身の男性(28)は20歳ごろから約2年、結に通った。「似たような境遇の人と話すことで、思いつめることがなくなり接客の力も磨かれた」と話す。現在は北海道の職場で管理職を務め、「楽しい職場に」と心がけている。

ともに店を切り盛りする同法人の白石祥和代表(41・H12卒)は「若者は『失敗しても大丈夫』という雰囲気の中で挑戦し、経験を積んでいく。就職後も何かあった時に戻って来られる場所でありたい」と話す。

10周年記念で、オリジナルのエコバッグやタオルを会員にプレゼントする。営業時間は火曜~土曜の午後5時半~11時で前日まで予約が必要。問い合わせは070(6616)1825。

2023年2月21日山形新聞より