性のこと真正面から・NPO法人With優代表・白石祥和

NPO法人With優代表・白石祥和さん(H12卒)

性教育トイレ紙 対話の糸口 ■正しい知識 子どもへ

当法人は学校に行けない・行かないことを選択した子どもたちの支援を中心に活動しているが、現在、県内の学校に対して「性教育トイレットペーパー」の設置を呼び掛ける活動に挑戦している。なぜ性の教材としてトイレットペーパーを選んだのか。トイレは学校で唯一のプライベートな空間であり、性の話に対するタブー感のある日本において、ごまかさない誠実な情報を伝えることはもちろん、人目を気にせずに性知識に触れる頻度を高めることが大切だからだ。

会員制交流サイト(SNS)の普及に伴い、周りの大人が知らないうちに、子どもが見知らぬ誰かと簡単に知り合いになれる時代になった。ネットで検索すれば、過激な性表現に簡単にたどり着くことも可能だ。一方で、一人の大人として、性について子どもと話し合うのはどこか難しさがあると感じている。それは保護者の方や学校の先生も同様ではないだろうか。性教育について何ら専門知識がない私が、プロジェクトを仕掛けている理由は、大切なことである性教育について、大人と対話するきっかけがないからだ。

「性教育トイレットペーパー」は静岡県の団体が作製したもので、「性的同意」「性暴力」「セクシュアリティー」「体の仕組み」の4分野を説明している。設置に向けて、学校関係者やさまざまな専門家と話し合いを重ねた。米沢市内の中学校では、保健委員会に所属する生徒が可否を判断するといった形で、生徒が主体的に関わりながらトイレットペーパーの導入を決めた学校もある。地域の方からの寄付金と、県民や企業の善意を基にした「やまがた社会貢献基金」の助成金を充ててトイレットペーパーを寄贈した。

この教材はあくまで補完的なものだと考えている。性の悩みを素直に聞ける環境を作ることが目的であり、何より正しい知識をうやむやにしないことで子どもたちを性の被害者・加害者にしないことが目的である。

セクシュアリティーについて理解を深める機会を与えることも重要だ。例えば、小中学校の男女混合名簿の導入率は、日本教職員組合による全国調査(2020年)では87%となっているが、米沢市においては1割にも満たない。世界的に見ても男女別名簿を使用しているのは極めて少ない。「男が先、女は後」という意識は、子供たちが成長する日常の中で変えていかなければならないのではないだろうか。

同じく、中学校において、女子生徒用のスラックスの導入が進んでいる。入学時にスカートとスラックスを自由に選んで購入し、その日の気分で履き替えることが可能な学校がある一方で、スラックスを着用するために個別の申請が必要な学校も存在する。その方法で、心の中で悩みを抱えている生徒が積極的に希望を口にできるだろうか。それぞれの学校に特徴的な教育はあってしかるべきだが、当法人が専門とする不登校支援を含め、子どもたちの人権に関わるようなものは学校ごとに差があってはいけないとも感じる。

特に米沢市は本年度、SDGs未来都市に選定されている。SDGs(持続可能な開発目標)は「誰ひとり取り残さない」ことを目指しており、私たち大人が子供たちのどんな未来を創るか試されている。

2021年11月24日山形新聞より