十一屋ホールを会場にした最後のコンサートで歌う松倉とし子さん(S48卒)と松倉望さん=山形市・十一屋本店

拠点に活動・松倉とし子さん(S48卒)「寂しさ99.9%。でも未来へ」

山形市中心市街地を流れる御殿堰(ごてんぜき)の整備に伴い、十一屋本店(七日町1丁目)が建て替えられることから、12日夕、十一屋ホールを拠点に活動してきたソプラノ歌手・松倉とし子さんのファイナルコンサートが開かれた。本店2階の会場にはファンらが大勢集まり、ホールに響く情感豊かな歌声にうっとりと聞き入り、別れを惜しんだ。

松倉さんは、1984(昭和59)年から十一屋ホールを会場に、演奏会や合唱を楽しむ「歌声茶論(さろん)」などを500回開いてきた。親交があった作曲家・故中田喜直さんの「音楽は音を楽しむもの。『楽しかったね』と言われるコンサートを」という言葉を実現しようと、さまざまなスタイルで音楽や歌の良さ、魅力を広めてきた。

ファイナルコンサートは3部構成で、長男のバリトン歌手松倉望さんらと共演した。故中田さんが作詞作曲した「お菓子のうた」、山形交響楽団創立名誉指揮者の村川千秋さんが作曲した「ちゅるるんゼリー」などを披露。フィナーレの「ふるさと」は会場全体で合唱した。松倉さんは「寂しさは99.9%。でも、未来に向けて新しいことを考えていきたい」と前を向き、「来年の新ホールでのコンサートも楽しみにしていてほしい」と語り掛けた。

十一屋本店は今月末まで営業を続ける。その後は建て替え工事に入り、2023年春に新店舗をオープンさせる。

2022年3月16日山形新聞より