紅花を活用した地域活性化に力を入れる米沢市で、紅花染めの継承に力を尽くした理科教師の姿などが収められた16ミリフィルム「草木染 紅花の里 米沢」に改めて光を当てようという動きがある。4月16日に市内で上映予定で、関係者は映像を通し、米沢と紅花の関わりを広く伝えたい考えだ。
来月、上映会と座談会企画
映像は30分で、米沢織の歴史や米沢と紅花の関わり、紅餅づくり、紅花染めなどの工程を紹介している。中学理科教師で米沢織の織元と連携して紅花染めの復活に努めた鈴木孝男さんが登場するのも貴重だ。資料がない中、鈴木さんが試行錯誤を重ねて紅花染めを成功させた状況などを垣間見ることができる。製作の詳しい経緯や製作年などは不明だ。
フィルムは市視聴覚センターに保管されていた。紅花文化をテーマにしたドキュメンタリー映画「紅花の守人」の米沢上映会に向けて準備を進める中、実行委員会メンバーが存在に気付いた。かつては教育機関などに貸し出されていたが、2000年を最後に外部で大々的に上映された形跡はないという。
一方、染織工房わくわく舘では、フィルムをDVDに複製し、紅花染めの体験学習に訪れる児童生徒に教材として見てもらう場を設けていた。実行委員長の九里広志九里学園高校長(S40卒)が同工房で映像を目にしたことがきっかけで、フィルムにたどり着き、上映の機運が高まった。同工房の斎藤英助社長(67)は「非常に価値ある映像。市民にも広く見てもらい、地元にも素晴らしいものがあることを知ってほしい」と話す。
実行委メンバーの安部理絵さん(45)は「染織の街・米沢の数十年前の転機を改めて知った。映像を見てもらうことで次世代に残すことにもつながるのではないか」と期待する。
紅花の守人上映会のプレイベントとして4月16日午後2時から伝国の杜で上映。「米沢と紅花」をテーマにした座談会も予定している。プレイベントは参加無料。問い合わせは実行委事務局の伝国の杜0238(26)2666。
2022年3月3日山形新聞より