日本酒製造の小嶋総本店(米沢市、小嶋健市郎社長・H11卒)は1日、製造に使う電力を置賜地域で発電する再生可能エネルギーに切り替えた。発電には自社製品の製造過程で発生する酒かすが使われており、資源が循環する形となる。

東北おひさま発電(長井市、後藤博信社長・S40卒)運営のながめやまバイオガス発電所(飯豊町)などで発電した再エネ電力を、おきたま新電力(米沢市、後藤社長)を通じて購入する。

同発電所は肥育牛の排せつ物などを発酵処理する際に発生するメタンガスを燃料に発電しており、肉牛の排せつ物がメインの発電所としては全国最大規模。牛ふんの副原料として食品残渣(さ)を加えており、その中に小嶋総本店の酒かすが使われている。

同社では製造過程で年間80~100トンの酒かすが出る。これまで果樹園の発酵肥料などになっていたが、クマを引き寄せるなどの懸念があり、活用できる環境が限られていた。昨年からバイオガス発電への活用を進めており、年間約50トンを同発電所で引き受ける。

切り替えで、同社が製造過程で使う電力全量が再エネ由来となる。これにより年間の二酸化炭素(CO2)排出量は約680トンから230トン程度に削減できるという。将来的にボイラーに使う重油も他のエネルギーに代替できないか検討し、CO2排出量ゼロを目指す考え。

酒米に高温障害が発生する年が増えるなど、酒造業界も気候変動の影響を受けてきた。さらに昨年の8月豪雨は地元の置賜一帯に甚大な被害をもたらした。小嶋社長は「気候変動は人ごとではない。われわれも生産活動を見直していく必要がある」と話している。

2023年2月2日山形新聞より