米沢繊維協 一丸で紅花染め製品開発
米沢織の関連業者でつくる米沢繊維協議会(近藤哲夫会長・S55卒)が本年度、協議会挙げての紅花染め製品の開発や、地域や大学との連携強化など新たな取り組みを打ち出している。市場の縮小や後継者不足など課題が山積する中、米沢のものづくりの原点ともいえる米沢織を次代につなげようと模索する。
米沢織は米沢9代藩主上杉鷹山が殖産興業の一環で奨励したのが始まり。織物の一大産地となり、1892(明治25)年には、同協議会の前身となる米沢絹織物業組合が設立した。創立130周年の昨年、新型コロナウイルス禍で実施できなかった記念事業を本年度、展開している。
協議会には呉服屋洋服生地の製織、染色、整理加工、意匠、糸商、卸売など55社が加盟する。ピークの1960年代前半と比べ、1割程度に減った。製織の事業所だけをみても、90年の178社から現在は25社と大幅に減少している。この十数年でも20社以上が事業をやめた。安価な輸入品が台頭し、高級服地の市場が縮小していること、そもそも人々が衣料品に使うお金が減っていることから、収益を上げるのが難しい業態となり、後継者不足につながっているとみられる。
近藤会長は厳しい状況を認識した上で、「米沢織はこの街のものづくりの原点で、次代に残さなくてはならない。個々の事業所がしっかり稼げるよう情報交換を密にし、販路開拓も積極的に仕掛ける必要がある」と強調する。
その中で本年度新たに取り組んでいるのが、協議会挙げての紅花染め製品開発だ。これまで経験がなかった洋服地の事業所を含め、個々の事業所がオリジナル製品を作り、共通のラベルを貼って売り出していく。並行して全事業所が紅花を栽培、共同で着物やストールなどの紅花染め製品に仕上げるプロジェクトも展開する。4月に東京で開催した業者向けの展示会で取り組みを紹介し、既に引き合いがある。この展示会では会場の空間デザインを東北芸術工科大が担当、好評を得た。同大とは今後も商品開発などで連携していくという。
他分野の製造業などと協力しオープンファクトリーを展開するなど観光と連動した動きもある。近藤会長は「旅館で紅花染めのシーツを使ってもらうなど米沢織を地域のものとして捉え、地域との連携を強化していきたい」と展望する。米沢織の新たな価値を打ち出し、次代につなぐために、業種を問わない「連携」が鍵を握りそうだ。
2023年6月1日山形新聞より