米沢繊維協議会会長・近藤哲夫さん(S55卒)

芸工大生らと商品開発・業種超えた催し展開

米沢繊維協議会は1892(明治25)年、350社の機屋(織物業)が品質の安定と信用度アップを目的に米沢絹織物工業組合を結成したのが始まり。昨年創立131年を迎えました。130周年はコロナウイルス禍でイベントもままならなかったので、“新たな一歩”という思いも込めて「組合創立130年+1」と銘打って記念事業を展開しました。

まずは、会員が一体となり、本県の花・紅花を使った新商品開発と、フラワーポットでの栽培事業に取り組みました。紅花は貴重な赤の染料で糸を染め上げ、着物や帯地をはじめ、洋服や小物製作にもチャレンジ。従来取り組んでいる会員以外にも製作していただき、たくさんのアイテムで紅花をアピールしました。紅花の種とフラワーポットも配布して、7月に紅花のオレンジ色の花で各社の前を飾っていただきました。

二つ目は以前から開催していた洋服の素材展に和装も加え、米沢産地総合展を東京・有楽町で開催しました。洋装の生地で着物を作ったり、洋装に和装の生地が使われたりと、新たな取り組みも始まりました。

三つめは東北芸術工科大学との連携です。総合展のレイアウト、Tシャツのデザイン、そして米織の生地を使った小物の開発を進めました。学生さんの斬新なアイデアが好評でした。他にも新作発表会や着物パーティー、着物フォトコンテストなども開催し、今までにない反響をいただきました。

そして9月には「360(さんろくまる)よねざわオープンファクトリー」を開催。米織だけでなく日本酒や味噌の製造元にも参加いただき、業種を超えたものづくりの現場見学と小物製作のワークショップ、そして買い物を楽しんでいただきました。会社のPRだけでなく社員のモチベーションアップにもつながり、何より見学者の方々からたくさんの激励をいただき感動の2日間でした。

参加企業の担当者の平均年齢は40代で女性が多く、これからの時代のイベントの進め方はこれだ!!と感じました。しぶしぶ参加されていた企業の社長さんが、イベント終了直後、次回の参加表明をされたのも印象的でした。

少子高齢化、原材料価格の上昇、ライフスタイルの変化など、ものづくりの環境は厳しい状況が続いています。コロナ禍の3年間でその傾向に拍車がかかり、米沢織の機屋も24社まで激減し、130年前の10分の1を切ってます。それでも、ものづくりが大好きな私たちは、受け継いだ伝統産業のバトンを次の世代に渡せるように行動していきたいと考えております。

その方法は従来とは違ったやり方なんだと気づいた昨年。今年は干支の辰のように大きな成長を目指して“始まりの一歩!”の年にしたいと思います。

今年も米織、そして米沢のものづくりにご期待ください。

(米沢市在住)

2024年2月9日山形新聞より