コロナ禍以降、オンライン会議の流儀には慣れたつもりでいた。発表を聞き、何か質問があればパソコンの「挙手」を押す。司会者から指名されたら質問する。だが先日参加した会議のグループワークは勝手が違った。

いちいち手を挙げる必要のないフリートーク。ある人が発言を終えるとオンラインで聞いていた別の人がすぐ反応する。メンバーの大半は顔なじみのようで言葉のキャッチボールが弾む。でも新参者の身にすれば、話に入る間がつかめない。専ら聞き役に回ることになった。

「ボードゲームで社会が変わる」與那覇潤・小野卓也著※クリックしてAmazonへ

新時代のコミュニケーションに対応するにはまだまだ修行が足りぬ、と自嘲した折に手にした新書がある。與那覇潤・小野卓也著「ボードゲームで社会が変わる」。小野さんは長井市で住職を務めつつ、対面で行うアナログ盤上ゲームの魅力を広める活動を続けている。

例えばオンラインゲームなら、顔が見えない相手のことより自分が勝つことに集中しがちになるとか。だから「同じ場所」を共有するコミュニケーションも大切だ。読みながら、こんな論旨に頷くことしきり。ネットを活用する一方で対面の価値を守る重要性を再確認した。

小野卓也住職(H4卒)