佐藤佳子置賜総合支庁長(S59卒)

-2022年8月豪雨で置賜地域は甚大な被害を受けた。復旧と防災力強化にどう取り組むか。

「今年3月末時点では道路・河川の7割程度、農地・農業用施設は97%程度が復旧している。決壊した川西町の農業用ため池・鏡沼は本年度、堤体工事を行い年度内に完成する見込みだ。国道121号は25年の降雪期前の復旧完了に向け、本年度は脆弱な地盤を避けて橋を架ける工事に入る。飯豊町の小白川、萩生川は屈曲部を緩やかにするなど、災害防止に向けた工事を進めている。防災減災意識の向上に向けた研修も含め、万が一の事態に備えていく」

-JR米坂線は復旧の見通しが立たない。

「米坂線は高校生、高齢者はじめ置賜地域の住民に必要不可欠であり、山形、新潟両県の広域観光でも非常に重要な路線だ。置賜総合支庁の役割は一日も早い復旧のために地域の盛り上がりをつくることと考える。8月に小国町で米坂線復活絆まつりを開催する。地域全体で鉄道の重要性を再認識し、復旧への機運を高める機会としたい。利用拡大、沿線活性化に向けた取り組みにも力を入れる」

-基幹産業の農業、製造業の振興策は。

「製造業は付加価値額を上げていくことが長年の課題だ。高等教育機関が多いのは置賜地域の強み。山形大工学部、飯豊町の電動モビリティシステム専門職大との共同研究などを通し、技術力向上や製品開発につながるような企業と研究機関、企業同士のネットワーク構築を支援する。農業は、飼料価格高騰で生産コストが増えている畜産農家を支援するため、置賜産の飼料用トウモロコシの地域内での利用拡大に取り組む。近年多い高温や凍霜害などの気象災害に対応できるよう、県作成のマニュアルを基に生産者と連携して備えたい」

2024年5月9日山形新聞より