江戸時代中期に米沢に打荒れ、居合「一刀流」の達人として知られた吉田一無(1704~82年)に光を当てるイベント「吉田一無にまつわる伝聞」が17日、米沢市の三條かの記念館で開かれた。一無の子孫が家族から伝え聞いたエピソードを披露したほか、同時代のクラシック音楽のピアノ演奏、居合の演武などが行われた。
一無について調査する市剣道連盟会長で同記念館の三條貞夫館長(S45卒)らが企画した。一無の子孫・星省治さん(神奈川県・S44卒)との対談に合わせて、一無の親戚筋の古民家に住むピアニスト福田直樹さんが、一無と同時代に活躍したベートーベンの「悲愴」、モーツァルトの「トルコ行進曲」などを披露した。「音楽が時代と共に形を変え、中身も成熟したことは、剣術とも共通する点がある」などと考察も語り合った。
星さんは講演で、大男に襲われた一無が相手を一刀両断にした逸話や、米沢藩9代藩主上杉鷹山の師・細井平洲の悪いうわさを聞き、暗殺を企てたエピソードにも触れた。「平洲先生の毅然とした態度を見てはっとしたのだろう、本来なら家族もただでは済まないが、(平洲先生に)一無の人間性も認めてもらえたのではないか」と語った。居合道や日本剣道形も披露された。
2023年11月23日山形新聞より