一人一人に話しかけながら、サインに応じるますむらひろしさん(S46卒)=山形市・山形美術館

山形市の山形美術館で開かれている「ますむらひろし展」のアーティストトークとサイン会が16日、同館で行われた。米沢市出身の漫画家ますむらひろしさん(S46卒)が展示作を紹介しながら、制作の裏話や苦労、こだわった点などを解説した。

初公開している「銀河鉄道の夜・四次稿編」は、宮沢賢治の童話を漫画化した作品。ますむらさんは主人公のジョバンニがバイトに行く印刷所について、「写植について調べるため、米沢の伊藤活版所で写真を撮らせてもらった」と説明。物語に出てくる「三角標」は表現するのが大変だといい「元々文章が映像的で不思議な色合い。描いても描ききれない場面の一つ」と語った。

「アタゴオル」シリーズに登場する「猫の目時計」のイラストでは、約20年前に古里の米沢に実物の「猫の目時計」が設置されたと紹介。当初は一定の時間になると、『ミャォロロロッ』という鳴き声を出す仕組みになっており、「除幕式で鳴き声を披露したところ、静まりかえった。子どもたちはどう思っていたんだろう」と話し、笑いを誘った。

サイン会は、会場で本を購入した希望者先着50人が対象だった。ますむらさんは一人一人に話しかけながら、猫のキャラクター・ヒデヨシのイラストとサインを記した。ファンの女性は「猫がかわいらしい。絵も描いてもらえて感動した」と喜んだ。

この日は突然、ヒデヨシが会場に登場。愛くるしい姿で手を振り、ファンとの撮影に応じていた。今後も気が向いた時に遊びにくるかもしれない。

次回のアーティストトークは8月11日午前10時半に実施。整理券が必要で先着60人。サイン会はきょう17日午前11時と8月11日午後1時に開催。指定の書籍を購入した人が対象で、各日先着50人。

2022年7月17日山形新聞より