山形新聞、山形放送の8大事業「ますむらひろし展」が15日、山形市の山形美術館で開幕する。米沢市出身の漫画家ますむらひろしさん(69・S46卒)=千葉県野田市=が手掛けた原画やポスター、グッズなど約400点を展示する。全国に先駆け「銀河鉄道の夜・四次稿編」の漫画原稿も初公開。幻想的で独創的なますむらワールドの魅力を余すところなく紹介する。

ますむらさんは1973(昭和48)年に週刊少年ジャンプに投稿した「霧にむせぶ夜」が手塚賞に準入選し、漫画家デビューした。代表作は、空想の世界を舞台に立って歩くユーモラスな猫・ヒデヨシと個性豊かな住民たちが登場する「アタゴオル」シリーズや、宮沢賢治の作品を漫画化した「銀河鉄道の夜」など。

本展は、初期作品を集めた「アタゴオル前夜」▽賢治のイーハトーブに呼応して生み出された漫画「アタゴオル」のイラストやグッズなどが並ぶ「アタゴオルの世界」▽葛飾北斎の浮世絵と合体させた作品を復刻版画などと比較して楽しめる「アタゴオル×北斎」▽初公開の新作を紹介し、賢治作品と過ごした創作の日々を振り返る「宮沢賢治の童話とともに」▽山形にまつわるグッズやCDジャケットなど、漫画以外の創作活動に焦点を当てた「広がるますむらの世界」-の5章で構成している。

関連イベントも企画している。ますむらさんのアーティストトークと映画「イーハトーブ幻想~KENjIの春」の上映会は、整理券が必要で各日先着60人。サイン会は指定の書籍を購入した人が対象で、各日先着50人。日程は以下の通り。アーティストトーク=16日午後1時半、8月11日午前10時半▽サイン会=16日午後3時、17日午前11時、8月11日午後1時▽ヒデヨシと写真を撮ろう!=15、18の両日午前11時と午後2時、17日午後2時▽映画上映会=30、31の両日午前11時と午後2時。

本展は山形新聞、山形放送、山形美術館、県が主催し、県生涯学習文化財団が共催。会期は8月28日まで。問い合わせは山形新聞社事業部023(642)7955、山形美術館023(622)3090。

2022年7月15日山形新聞より
寒河江浩二山新社長らと懇談し、作品への思いなどを語ったますむらひろしさん(左・S46卒)=山形市・山形メディアタワー

「銀河鉄道の夜」の新作が目玉

「ますむらひろし展」の開幕を前に、ますむらひろしさんが14日、山形市の山形メディアタワーを訪れ、「これまで何万枚と書いてきた中からよりすぐって紹介する。どの絵も一枚一枚いい絵だと思う。初公開する『銀河鉄道の夜』の新作が目玉」とPRした。

ますむらさんは菅野滋山形美術館長と訪問し、寒河江浩二山形新聞社長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)、板垣正義山形放送社長と懇談した。

ネコのキャラクター「ヒデヨシ」について、寒河江社長が「ヒデヨシのぽてっとした体が親しみを感じる」と話すと、ますむらさんは「最初はおとなしいネコだったが、描いているうちに(自我のある)生き物になってきて、だんだん作者の言うことを聞かなくなった」と笑った。

寒河江社長は「米沢を売り出してくれ、うれしく思う。より多くの人に見てほしい」と話した。

2022年7月15日山形新聞より