遠藤由美子さん(S53卒)が書いたチョークアート作品が並ぶ企画展=上山市立図書館

上山できょうから 夫「生きた証し見て」

今年の県総合美術展(洋画部門)で県展賞を獲得した遠藤正俊さん(63)=山形市=の妻で、昨年62歳で亡くなった由美子さんのチョークアート展が25日から、上山市図書館で開かれる。製作期間はわずか3年ほどだったが、その間に精魂込めて取り組んだ作品が会場を彩る。正俊さんは「妻の生きた証しを見てほしい。知っている人には作品を通し彼女を思い出してほしい」と話している。

草間弥生さんの作品展を訪れ写真に納まる遠藤由美子さん=2017年、東京・六本木の国立新美術館

由美子さんは山形大教育学部を卒業後、県内の中学校で美術などを担当した。2018年に58歳で早期退職後、非常勤講師の傍ら、英国のパブの看板が発祥ともされるチョークアートに出会った。インストラクターの資格を得て山形市や上山市などで教室を開き、精力的に活動したが、昨年夏に体調不良を訴え、入院。10月末、病気で亡くなった。

正俊さんは「病床でも早く治してチョークアートを描きたいと話していた。本人はもっとやれると思っていたはず。悔しかっただろう」とおもんぱかる。

回顧展は夫妻のことをよく知る同図書館の岩井哲館長が発案した。元々、由美子さんが亡くなる前に展覧会開催を考えたものの、体調不良と聞き本人には伝えなかったという。「訃報はまさかと思った。由美子さんには『早すぎるんじゃないの』と言いたい。でもこの企画展を喜んでくれていると思う」

会場には米大リーグの大谷翔平選手やイチローさんといったスポーツ選手のほか、ロックバンド・クイーン、歌手の藤井風さん、クリスマスツリー、大輪のダリアなど多様な25点を展示している。正俊さんは由美子さんの作品を「色使いがシックで、水彩画のような雰囲気が魅力」と評している。

12月27日~1月4日の休館中に展示替えをし、前後期で計50点ほどが並ぶ予定。

2023年11月25日山形新聞より