米沢市芸術文化協会副会長の清野春樹さん(75・S43卒)=同市城西3丁目=が「山形歴史探訪」を出版した。本県の地名や郷土史をたどるシリーズ6冊目で、今回は天童市や大石田町、米沢市などを取り上げた。

「地域の奥深さを伝えたい」と語る清野春樹さん(S43卒)=米沢市

天童、大石田、米沢読み解く

清野さんは社会科教諭として東海大山形鋼で長年教壇に立った。在職中から県内外の名所旧跡を訪れ、地元に伝わる物語や地名の由来などを丹念に調査。2014年に「山形歴史探訪 瀧山と恥川の秘密」を初めて出版した。以降、上山や尾花沢、寒河江などの歴史を次々にまとめ持論を展開、6冊目となる今回は「天童・次年子・南原・窪田の秘密」について考察した。

天童編では、若松観音や田麦野の歴史を詳述。大石田編では次年子の由来はアイヌ語で「シ・ナイ・コッ」(大きな枯れ木)で、「じねこ」「じねんご」に変遷したと読み解いた。

米沢編では、南原、李山、窪田の歴史解明に挑戦した。千眼寺の保呂羽堂はアイヌ語「ホロ・パ」(偉大な山頂)から転じたもので、餅を天井に突き上げる同寺の伝統行事は太陽光が弱い冬至の時期に、太陽を元気づける意味があるのでは、と推論した。

清野さんは各地の地域性について「米沢は藩主に恵まれ、民を思う藩政が行われたが、山形では藩主がたびたび交代したため、自分たちで何とかしなければと、自立心が育った」と分析する。「今後は東根や村山などを調査して、それぞれの地域の素晴らしさと奥深さを伝えたい」と抱負を語った。B6判、211ページ、1650円。問い合わせは清野さん0238(23)1729。

2024年5月15日山形新聞より