旧中屋本館跡地に整備された直径5メートルの湯車。歴史ある温泉地の新たなシンボルとなる =米沢市・白布温泉

 開湯700年超の歴史を誇る米沢市白布温泉に新たなシンボルが誕生した。源泉掛け流しで回る直径5メートルの湯車(ゆぐるま)。地域の再生に取り組む天元台×白布リボーン協議会(遠藤友紀雄会長・S58卒)が中屋本館跡地に整備し6日、地元住民らにお披露目された。湯車を核に、温泉地の歴史を生かした憩いの場をつくり、誘客に結びつける。

 同温泉街は東屋、中屋、西屋の老舗3旅館のかやぶき屋根が知られていた。2000年の火災で中屋本館と東屋の歴史的建物は消失したが、新たに湯車を、豊かな温泉と白布が重ねてきた歴史を感じてもらうシンボルとしたい考えだ。

 湯車は白鷹町の水車工房「山水車(さんすいしゃ)」が製作。中屋本館の広間があった場所に設置され、同本館が使っていた源泉を利用して回る。付近には石段などが残り、背後には湯治文化と関わりが深い3旅館それぞれの薬師堂が見える。今後は、こうした温泉に絡む歴史文化を生かしながら周辺の整備を進める方針だ。湯車が生み出した動力の利用法も今後検討する。湯車設置の事業費は1700万円。

 お披露目には住民ら約20人が参加し、湯車が回転して湯煙が立ち上ると歓声が上がった。遠藤会長(西屋旅館社長)は「新たな歴史が巡るのだと感慨深い。この地域ににぎわいを取り戻すきっかけにしたい」。協議会事務局長の遠藤秀平中屋旅館専務は「焼失後20年たち、ようやくまたお客さまに見てもらえる場所となり、うれしい。温泉文化を感じながら歩ける場所になるよう引き続き取り組みたい」と語った。

 同協議会は地元関係者や市などで構成。西吾妻、天元台、白布温泉エリアの観光再生や経済活性化を目的にプロジェクトを展開している。

2021年12月07日山形新聞より
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天元台×白布リボーン協議会公式