地図や模型を使ってアイデアを膨らませる参加者=米沢市関

米沢市の白布温泉に昨年12月に完成した「湯車」。源泉で水車が回り、温泉地らしい光景となっている。この同温泉の新たなシンボルを中心に人々が集う広場を作ろうと、住民らが知恵を出し合っている。20年以上前に旅館が焼失し、それ以来手つかずだった場所は、憩いの場に生まれ変わろうとしている。

同温泉街はかつて、それぞれかやぶき屋根が特徴の東屋、中屋、西屋の老舗3旅館が並んでいた。だが2000年に火災が発生し中屋本館と東屋が全焼。中屋本館があった場所は、内風呂の土台などが残ったままの状態になっていた。

「湯車」は、官民連携組織の「天元台×白布リボーン協議会」(遠藤友紀雄会長・S58卒)が中屋本館跡地に整備した。広場整備は当時から構想。実現に向け今年9月から、セミナーやワークショップを開いてきた。

参加者は観光客のアンケートを活用し広場に必要なものや望むことを検討。「若者が集う」「夕食後に散歩できる」「キャンプや朝市ができる」など、多くのイメージやアイデアが出された。10月25日には旅館や飲食店の関係者、地域外から関心を寄せる人など10人ほどが集まり、3班に分かれて地図や模型を使いながら構想について話し合った。

「スロープを付ければ冬はそり遊びができる」「内風呂跡をビオトープにしては」など魅力的な案が出された。「山の深い歴史への入り口のようなイメージ」「あずまやの屋根をかやぶきにすれば歴史語りのきっかけになる」などの意見に、多くの参加者がうなずいた。

今後はアイデアを具体化させ、年度内に設計案をまとめ来年度中の完成を目指す。遠藤会長は「新たに整備された白布大滝の参道などと併せて活用し、地域全体の活性化につなげていきたい」と期待を込めた。

2022年11月5日山形新聞より