米沢市の西吾妻山、天元台、白布温泉の活性化を目指す「天元台×白布リボーン協議会」。長引く新型コロナウイルス禍で厳しい状況にあるが、将来にわたって持続できる観光地を目指し人材育成、環境整備に取り組む。会長の遠藤友紀雄さん(57・S58卒)=西屋旅館社長=にプロジェクトの手応え、今後の展望を聞いた。
-プロジェクトは2020年度、天元台のロープウエー事故を機に、このエリアを一体的に再生しようと5年の計画で始まりました。少しずつ形が見えてきましたね。
「スキー客の減少とともに白布温泉は1995年ごろをピークに半分以下に減っています。プロジェクトは地域が一体となるチャンス。まず、地元住民がどんな地域にしていきたいかビジョンを共有して進めてきました。天元台の圧雪車体験ツアーなど新たな魅力を開発し、昨年12月には温泉街のシンボル『湯車』を整備しました。発信もこれまでにない手法を取っています。インスタグラムで地域の魅力を伝える『白布じかん』は、地域の女性たちが中心となって企画。住んでいる人間や、雪下ろしなど地域の共同作業も公開しています。今後は、白布大滝に通じる参道の整備、天元台への展望テラス開設などを予定しています。あるものを生かし、いかにお客さんに来てもらえるか。具体的な成果を見据えて進めていきたいです」
-コロナ禍が長引き、観光は大変な状況です。
「昨年末、経済が動き始めたかなと思った途端にこの状態です。大変な逆風ではありますが、次のステップのための準備期間と捉えたいです。この地域は、明治時代のコレラ、戦争、火災と何度も危機を乗り越えてきました。コロナ禍が収束した時に、いかに収益を上げていけるか。自分たちの魅力が何かを見つめ直し、不要な部分を省く努力をしてきました。好機を逃さないよう態勢を整えたいと思っています」
-どのような地域にしていきたいですか。
「プロジェクトによって、自然、温泉と資源に恵まれた地域だとあらためて気付きました。感謝しつつ活用していかなければなりません。単に多くの人が訪れる地域ではなく『ここが好き』と思ってくれる人が『また帰ってきたい』と、繰り返し訪れてくれる場所。長く持続していけるそんな地域を目指したいです」
2022年2月6日山形新聞より